森繁久彌が作詞・作曲し、加藤登紀子が歌って大ヒット、知床ブームまで生み出した『知床旅情』。 その3番に「君は出て行く峠を越えて」という歌詞があります。 ウトロからなら知床峠を越えて羅臼へ、羅臼からならやはり知床峠を経てウトロへ・・・、と思いがちですが実はまったく違うのです。
『知床旅情』時代には横断道路は未開通
実は『知床旅情』がヒットした時代にはまだ知床横断道路は未開通。『知床旅情』の元歌『さらばラウスよ』(森繁久彌作詞・作曲)の完成時にも当然、横断道路はありません。 では、どこなのかといえば、その旧道が羅臼町幌萌町に残されています。 平成26年の秋に羅臼町では海岸線の隆起、海岸台地の陥没騒ぎがありましたが、その台地に亀裂が走ったのが幌萌町です。陥没のあった裏山(旧国道一帯)は冬の間、雪捨て場。つまり「急に気温が上がって雪解けが進み、地中の岩のすき間に水が染み込んで大規模な地滑りが起きたと考えられる」(現地調査した北見工業大の山崎新太郎助教)というわけなのです。 羅臼市街から標津・根室方面へと国道335号を走るとスノーシェルターが連続する場所があります。その左手が『知床旅情』に登場する「峠」です。 正式名は羅臼峠。峠というにはあっけないほどではありますが、かなたに羅臼市街方面を眺める最後の場所というわけなのです。
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