日光東照宮・廻転灯籠(逆紋の廻り灯籠)

日光東照宮・廻転灯籠(逆紋の廻り灯籠)

日光東照宮陽明門の上り口、鼓楼近くにあるのが廻転灯籠。寛永20年(1643年)、オランダ国(オランダ商館)からの奉納です。灯籠上部に取り付けられた葵の紋が上下逆さであることから「逆紋の廻り灯籠」と称されています。附(つけたり)・銅燈籠として、国の重要文化財に指定されています。

葵の紋がすべて上下が逆に!

オランダ商館は、慶長14年(1609年)、オランダ国との正式国交が開けた時に平戸に設置されましたが、寛永5年(1628年)のタイオワン事件(長崎代官・末次平蔵とオランダ領台湾行政長官ピーテル・ノイツとの間で起きた紛争)で閉鎖、寛永9年(1632年)に再開されたものの、寛永17年(1640年)、建物の破風に西暦年号が記されているのを口実に長崎・出島への移転を余儀なくされました。
寛永16年(1639年)にはポルトガル船の来航も禁止されているので、廻転灯籠が奉納されたのは、そうした政治情勢を背景に、3代将軍・徳川家光が整備に力を入れた日光東照宮への寄進で、徳川幕府へ取り入ろうという明確な目的がわかります。
ヨーロッパの貴族にも紋章はあるのですが、燈籠に取り付ける葵の紋の上下を取り違えるという大失敗を犯しています。
そのまま修正せずに設置した点も、何らかの判断が下されたと想像すれば、当時のデリケートな外交政策を垣間見ることができます。
廻転灯籠はオランダ本国で造られ(設計:ヨハネス・ルトマ、制作:ヨーストヘリッツゾーン)、オランダ国王の名で奉納されるため、将軍家もこれを許したと伝わっています。

周辺にはオランダ国寄進の釣灯籠、蓮灯籠もあるのでお見逃しなく。

日光東照宮・廻転灯籠(逆紋の廻り灯籠)
葵の御紋が上下逆に!
日光東照宮・廻転灯籠(逆紋の廻り灯籠)
名称 日光東照宮・廻転灯籠(逆紋の廻り灯籠)/にっこうとうしょうぐう・かいてんとうろう(さかさもんのまわりとうろう)
所在地 栃木県日光市山内2301
関連HP 日光東照宮公式ホームページ
電車・バスで 東武日光駅から東武バス世界遺産めぐりで勝道上人像前下車、徒歩10分
ドライブで 日光宇都宮道路日光ICから約3km
駐車場 100台/有料
問い合わせ 日光東照宮社務所 TEL:0288-54-0560/FAX:0288-54-0061
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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