北区立中央公園文化センター(旧東京第一陸軍造兵廠本部)

北区立中央公園文化センター(旧東京第一陸軍造兵廠本部)

東京都北区十条台1丁目にある北区内のサークルやグループの学習・文化活動の場となっているのが北区立中央公園文化センター。建物は、昭和5年築の旧東京第一陸軍造兵廠本部(きゅうとうきょうだいいちりくぐんぞうへいしょうほんぶ)を再生したもの。

赤羽周辺が「軍都」だった歴史を今に伝える建物

北区立中央公園文化センター(旧東京第一陸軍造兵廠本部)
国土地理院航空写真(昭和22年8月11日、アメリカ軍撮影)

戦前は陸軍の施設、戦後は米軍施設となりましたが、昭和46年に返還され、昭和56年から北区立中央公園文化センターとして使われる、レトロな建物は、東京に残る貴重な戦争遺跡。

明治5年に赤羽火薬庫が設置されたことに始まり、兵器や燃料を保管する東京鎮台武器庫(明治19年)、赤羽工兵隊、陸軍被服倉庫などが移転し、赤羽台・王子一帯は「軍都」的な様相を呈していました(そのため空襲の対象となり、激しい空爆を受けています)。

明治38年、日露戦争を機に弾薬(銃包)の増産が必要となったことから、小石川にあった東京砲兵工廠が手狭になり(明治3年、旧水戸藩邸に設置、小石川後楽園はその庭園部分)、拳銃や弾薬などを製造する銃包部門が十条へ移転、東京砲兵工廠銃包製造所が開設されたのが始まり。
敷地内には銃包を製造するためのレンガ造りの工場棟が多数建設されたのです。

すでにすぐ西側の石神井川沿いに板橋火薬製造所(明治4年、旧加賀藩江戸下屋敷平尾邸に設置)があり、火薬・武器部門を一帯に集約できることから十条が選ばれた理由。

大正12年、陸軍造兵廠火工廠十条兵器製造所、昭和11年、小石川から東京工廠本部が十条に移転し、陸軍造兵廠東京工廠銃砲製造所への改称・改組を経て、昭和15年、組織改変で東京第一陸軍造兵廠(通称「一造」)となっています。
そのうち、第一製造所が鉄砲、第二製造所が精器、第三製造所が火具を製造。

赤羽線(現・埼京線)の西、板橋側は東京第二陸軍造兵廠(通称「二造」)が建っていました。

東京第一陸軍造兵廠第一製造所の本部だったのが、現在の北区立中央公園文化センター。
昭和20年5月25日の空襲で一部焼失しますが、終戦とともに、アメリカ軍に接収され、TOD第4地区(TOD=Tokyo Ordnance Depot/後のキャンプ王子=アメリカ軍東京兵器補給廠の保安司令部)になりましたが、昭和34年、東京兵器補給廠地区が返還され、陸上自衛隊十条駐屯地が開設。

かつての本部(現・北区立中央公園文化センター)にはアメリカ軍極東地図局などが設置され、ベトナム戦争当時には野戦病院としても使用されています。
昭和46年に全面返還され、北区立中央公園などとして活用。

建設同時の外壁は、茶色のスクラッチタイルというモダンなものでしたが、アメリカ軍が接収して以降は白く塗られています。

赤羽駅西側の高台には、陸軍被服本廠が設置され、陸軍の軍服などが製造されていましたが、現在は東洋大学赤羽台キャンパスなどになっています。

北区立中央公園文化センター(旧東京第一陸軍造兵廠本部)
名称 北区立中央公園文化センター(旧東京第一陸軍造兵廠本部)/きたくりつちゅうおうこうえんぶんかせんたー(きゅうとうきょうだいいちりくぐんぞうへいしょうほんぶ)
所在地 東京都北区十条台1-2-1
関連HP 北区公式ホームページ
電車・バスで JR王子駅・JR十条駅から徒歩15分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 北区立中央公園文化センター TEL:03-3907-5661/FAX:03-3907-5666
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
北区立中央図書館(旧東京砲兵工廠銃砲製造所)

北区立中央図書館(旧東京砲兵工廠銃砲製造所)

東京都北区十条台1丁目、北区立中央公園の一画にあるのが北区立中央図書館。レンガ建築の旧東京砲兵工廠銃砲製造所を再生したもので、赤レンガ図書館とも呼ばれています。戦後、陸上自衛隊十条駐屯地275号棟として使われていましたが、平成20年6月28

北区立中央公園

北区立中央公園

東京都北区十条台1丁目、6.56haという北区では飛鳥山公園に次ぐ面積を誇る区立公園が、北区立中央公園(正式名は東京都北区立中央公園)。戦前は明治38年に開設された東京砲兵工廠銃包製造所を前身とする軍用地で、戦後はアメリカ軍に接収されていた

 

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