日曜は朝夕の1日2本しか電車がない、しかもその間10時間という「大都会の秘境駅」が、兵庫県神戸市の和田岬線。兵庫駅で山陽本線から分かれ、和田岬駅まで2.7 kmという短い線です。山陽鉄道の貨物支線として明治23年7月8日開業という歴史ある駅ですが、なんと和田岬駅には改札、券売機もありません。
神戸市は和田岬線(JRの黒字路線)の廃止を提言
三菱重工業神戸造船所の通勤の足となっているので、平日は運転本数も多いのですが、工場が休みとなる日曜には、朝7時台、夕方17時台に1往復あるのみという大都市としては珍しい駅です。
当然赤字路線かと思いきや、実は黒字。
それでいて、兵庫運河を活用したウォーターフロント計画の邪魔、そして神戸市営地下鉄海岸線の赤字の原因(地下鉄にも和田岬駅があります)ということで、神戸市はJR西日本に対して廃止を提言しています。
和田岬線と競合関係となる地下鉄海岸線の開通は平成13年なので、当然後発ですが、地下鉄の開業によって利用者はJRから地下鉄に移り、和田岬線も廃止にと神戸市は目論みましたが、それが外れて、廃止の依頼になったのです。
和田岬駅は、かつては有人駅時代もあり、その際には改札も有し、無人駅となった後にも自動券売機、自動改札機が置かれていましたが、現在では両方とも撤去され、券売機も改札もないという異色の駅になっています。
では乗車券、あるいはICカードをどうすればいいのかといえば、分岐駅となる兵庫駅の和田岬線ホームに中間改札としての自動改札機、自動券売機が置かれているので、それを利用する仕組み。
ちなみに和田岬線が兵庫運河を渡る和田旋回橋(わだせんかいきょう)は、名前の通り、船が通る際に旋回する橋ですが(山陽鉄道が架橋した、現存日本最古の鉄道可動橋で、土木学会選奨土木遺産)、現在は旋回は行なわれていません。
改札、券売機のない「大都会の秘境駅」が神戸市に! | |
名称 | 和田岬駅/わだみさきえき |
所在地 | 兵庫県神戸市兵庫区和田宮通4-1-2 |
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