山口県萩市の山中にある日本の伝統的な製鉄方法であるたたら製鉄(砂鉄を木炭で燃焼し鉄を得る方法)の遺跡が、大板山たたら製鉄遺跡。生産された鉄は西洋式軍艦建造に使われており、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産にもなっています。
幕末には大板山の鉄で洋式艦船の碇も製作
鞴(たたら)は、製鉄炉に風を送る鞴(ふいご)のことで、たたら製鉄とは、原料である砂鉄と燃料の木炭を炉に入れ鞴(ふいご)を用いて行なう製鉄法。
炭の原料となる豊富な山林があったことから製鉄所ができたのです。
宝暦期(1751年~1764年のうちの8年間=大板山の阿川六郎兵衛による操業)、文化・文政期(1812年~1822年=津和野の原田勘四郎による操業)、幕末期(1855年~慶応3年=石見国の竹原竹五郎による操業)の3回、断続的に稼働しています。
昭和59年に完成した山の口ダムにより遺跡域の南半分はダム湖底に水没。
現存する遺構は中心施設の高殿など北半分です。
原料の砂鉄は島根県から北前船を利用して奈古港に荷揚げされ、荷駄で運ばれていました。
大板山のたたら場で作られた鉄は、安政3年4月(1856年5月)に創業を開始した萩藩(長州藩)の恵美須ヶ鼻造船所(恵美須ヶ鼻造船所跡は世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産)で最初に建造した洋式艦船「丙辰丸」(へいしんまる/全長25m、排水量47t、スクーナー船)の釘や碇などの部品にも使用されています。
高殿(製鉄炉と天秤鞴が置かれた中心施設)、元小屋(製鉄事務所)、鉄池(鉄鉱炉でつくられた熱い鉄を水で冷却する場)、砂鉄洗場(砂鉄を水洗いし不純物を除去する場)、鍛冶屋(製鉄作業で使用する道具を製作、修繕する工房)、炭窯、金屋子神祠などの遺構がよく保存されており、建物跡などの遺構が露出した形で整備されています。
展示休憩施設「大板山たたら館」もあり、遺跡発掘時の様子、大板山たたら製鉄の歴史、世界遺産に登録された理由などがパネルで紹介されています。
世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産で萩市内にあるのは大板山たたら製鉄遺跡のほか、萩反射炉、松下村塾、萩城下町、恵美須ヶ鼻造船所跡の5ヶ所です。
大板山たたら製鉄遺跡 | |
名称 | 大板山たたら製鉄遺跡/おおいたやまたたらせいてついせき |
所在地 | 山口県萩市大字紫福10257-11 |
関連HP | 萩市観光協会公式ホームページ |
ドライブで | 中国自動車道山口ICから約55km |
駐車場 | 4台/無料 |
問い合わせ | 萩市世界文化遺産室 TEL:0838-25-3380/ガイドの予約は萩市福栄総合事務所 TEL:0838-52-0121 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag