高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)

高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)

富山県高岡市伏木古国府、JR氷見線・伏木駅近くにあるのが、高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)。北前船の寄港地として栄えた伏木の歴史を今に伝える廻船問屋を資料館に再生したもので、高岡市内で唯一という望楼の残る土蔵にも注目を。建物は高岡市の文化財に指定。

北前船の廻船問屋の遺構を資料館として再生

高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)

伏木(ふしき)は、小矢部川の河口に位置する湊で、寛延2年(1749年)に成立した八軒問屋(幕末に七軒問屋)として知られる能登屋(藤井家)、鶴屋(堀田家)、「西海屋 」(堀家)、「塩屋」(塩田家)、そして秋元家(本江屋)など最盛期には大小合わせて30軒ほどの廻船問屋が建ち並び、北前船の交易で財を成しました。
秋元家(本江屋)は、安芸国(広島県)の出身で、文化年間(1804年~1818年)以前から海運を生業として成長(当初は船頭や水主などの泊まる宿を経営)、後に「長生丸」、「幸徳丸」を所有する廻船問屋となっています。

当時は越中の米を西廻り航路で、下関、瀬戸内海経由で大坂(現・大阪)へと運び、さらに各地で買い付けた商品を販売して、加賀藩にも大きな富をもたらしました。
高岡の鋳物(ニシンを炊く釜、塩釜)、香炉や仏具などの高岡銅器もこの北前船で全国へと運ばれたのです。

北前船で繁栄した伏木を今に伝える貴重な建物は、明治20年の大火で焼失後、元通りに再建されたもの。
部屋数は大小合わせて16室もある豪壮な建物で、現存する2階建ての土蔵は江戸時代後期の築。
2階部分が調度蔵と衣装蔵で、屋根の上に望楼が備わっています。

高岡市伏木北前船資料館の館内では船主の生活用具、航海の道具など貴重な資料を展示。
実際に上ることのできる土蔵の望楼は、北前船の帰航を物見役が毎日見張り続けた場所です。
帰港時に、「長生丸」などと船名を記した船幟(ふなのぼり)を船尾に掲げ、船主に到着を知らせていました。

日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」、さらには日本遺産「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」の構成文化財にもなっています。

周辺では伏木神社に廻船問屋の船主や船頭が、航海の安全を祈って奉納した鳥居、灯籠、玉石垣があるほか、高岡市伏木気象資料館は、明治16年、北前船の航海安全のため、私設の伏木灯台に併設するかたちで廻船問屋・藤井能三が設置した全国初の私設測候所です。

また高岡市山町筋伝統的建造物群保存地区内にある菅野家住宅も、明治初頭に、5代となる菅野伝右衛門が北前船での北海道交易で財を成して建てた豪商の家です(主屋と土蔵は明治33年の大火直後に再建)。

画像協力/富山県

高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)
小矢部川の向こうに立山連峰を眺望(中央が剣岳、その右に立山三山)
高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)
名称 高岡市伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)/たかおかしふしききたまえぶねしりょうかん(きゅうあきもとけじゅうたく)
所在地 富山県高岡市伏木古国府7-49
関連HP 高岡市公式ホームページ
電車・バスで JR伏木駅から徒歩10分
ドライブで 能越自動車道高岡北ICから約8km、北陸自動車道小杉ICから約15km
駐車場 8台/無料
問い合わせ 高岡市伏木北前船資料館 TEL:0766-44-3999
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
高岡市伏木気象資料館

高岡市伏木気象資料館

富山県高岡市伏木は、古代には越中国の国府が置かれ、江戸時代から大正時代には北前船の寄港地として賑わった地。明治16年に私設の伏木灯台に併設するかたちで廻船問屋の藤井能三が建設した伏木測候所。その明治42年築というレトロな擬洋風建築を再生した

菅野家住宅

菅野家住宅

富山県高岡市、重要伝統的建造物群保存地区に指定される高岡の山町筋にある商家が菅野家住宅。菅野家は明治初頭に、5代の菅野伝右衛門が北前船での北海道貿易で財を成し、6代目、7代目は明治22年に高岡銀行、明治36年には高岡電灯を創立。さらに政界に

 

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