三国湊(みくにみなと=越前三国/福井県坂井市)の「大和甘林堂」(やまとかんりんどう)は、亨保4年(1719年)創業の歴史を誇る和菓子処。「鶯餅」は、宝暦年間(1751年~1763年)に大和丈助が創案し、依頼250年余の歴史を誇る越前三国の銘菓です。
北前船の発展とともに登場した餅菓子
三国湊(越前三国)は北前船の寄港地、中継地として栄え、日本海大物流時代(大正時代頃までは物流は日本海ルートがメインでした)には回船問屋が軒を連ね、千石船などの出入りで賑わいをみせていました。
大和甘林堂の創業は、亨保4年(1719年)。
「大和甘林堂の鶯餅」が誕生したのは江戸時代半ばの宝暦年間(1751年〜1763年)。
当主の大和丈助が三国湊に入る千石船で運ばれた貴重品の砂糖に、地元特産の餅米、小豆、大豆などを加え創案した餅菓子です。
北前船が隆盛し、日本海の物流ルートとして確立されるのも18世紀後半。
まさに北前船の発展とともに登場した餅菓子だといえるのです。
三國神社山王の森に鳴く鶯に発想を得て「鶯餅」と名付け、名産として売り出し、以来、250年余りの歴史と風雅を誇る越前三国みやげとなっているのです。
江戸時代には砂糖は「珍品」と呼ばれた貴重品。
庶民の口には入らない高価なものだったことはいうまでもありません。
改良をしながらも、きな粉をまぶした餅と上品なこしあんで、優雅な味わいを守り続けています。
賑やかかりし頃の三国湊には、松ヶ下、上新町、出村の3ヶ所に花街があり、「江戸の花魁(おいらん)、三国の小女郎(こじょろう)」といわれるほどに繁栄していました。
そんな女郎達への手みやげにも使われただろう「鶯餅」は、上品で雅な「上方の香り」が漂っています。
餡(あん)も上品な京風です。
夏季には葛まんじゅう、冬季には蒸しようかんなど季節の和菓子も販売。
あんはすべて厳選された小豆の自家製で本物の菓子にこだわり続けています。
本当の鶯餅は薄茶色!?
余談になりますが、鶯餅は鶯色の餅ではありません。
ましてや日本の伝統的な色である鶯色は、黄緑色ではなく、薄茶色。
黄緑色と思われているのは、鶯(ウグイス)を目白(メジロ)と間違えたから。
ウグイスを目にする機会はなかなか得られるものではありませんが、実は薄茶色。
まさに「大和甘林堂の鶯餅」こそ、本当の鶯色なのです。
大和甘林堂の社長・大和久米登(やまとくめと)さんは、坂井市観光連盟の会長などの要職も務め、地域活性にも尽力しています。
風雅な「大和甘林堂の鶯餅」、景勝地・東尋坊(とうじんぼう)のある越前三国(坂井市)に行く機会があれば、購入をおすすめします。
電話注文で地方発送も可能。
大和甘林堂 | |
名称 | 大和甘林堂/やまとかんりんどう |
所在地 | 福井県坂井市三国町北本町4-4-52 |
電車・バスで | えちぜん鉄道三国駅から徒歩5分 |
問い合わせ | 大和甘林堂 TEL:0776-82-0046/FAX:0776-82-7866 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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