山梨県南都留郡富士河口湖町、河口湖北岸の河口湖もみじ回廊に建つ美術館が、久保田一竹美術館(くぼたいっちくびじゅつかん)。室町時代に栄え、江戸時代中期に衰退した文様染め「辻が花」。「辻が花」を蘇らせ、「一竹辻が花」の名で、見事な作品を作り上げているのが、久保田一竹の美術館です。
現代に「辻が花」を蘇らせた久保田一竹の美術館
辻が花とは、布を結んだり括ったりして染める伝統的な絞り染めを基本に、絵模様の輪郭を縫い絞って多色に染め分けた進化系までの伝統的な染めの技術で、中世の公家服飾や、室町時代には禅僧の袈裟(けさ)などに使われ、桃山時代には染めといえば辻が花を指すというくらいに一般的なものでした。
江戸時代に、糊(のり)で防染する友禅染の発達で、手間がかかり、絵柄の自由度が少ない辻が花はその存在意義を失い、自然消滅してしまいました。
昭和12年、久保田一竹20歳のときに目にしたのが廃絶されてしまった辻が花で染めた小裂。
その後、第二次世界大戦の勃発と応召、終戦、シベリアでの3年間に渡る抑留生活などの苦難を経て、小平市に一竹工房を開設し、研究に没頭します。
昭和37年、復活させた辻が花に「一竹辻が花」と命名、60歳となった昭和52年、銀座で初の個展を開いています。
平成2年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエ章を、平成5年に文化庁長官表彰を受賞、さらに平成6年に富士山を眺める河口湖の北岸に、念願の美術館を開館しています。
本館は、1000年を超す檜を使ったピラミッド型の建築で、「一竹辻が花作品展示室」では、芸術品と呼ぶべき美しい着物が展示され、圧巻。
世界的に注目される久保田一竹の作品群を間近に鑑賞することができます。
新館の2階にある蜻蛉玉(とんぼだま)ギャラリーでは、久保田さんが世界各地を訪れた際に収集した蜻蛉玉や、ローマングラスなどを展示されています。
開放的な庭を眺め、晴れた日にはテラスから富士山を望む新館2階のミュージアムカフェ、本館1階の龍門の滝を眺める茶房「一竹庵」、新館1階の蜻蛉玉アクセサリーを扱うミュージアムショップも併設。
久保田一竹美術館 | |
名称 | 久保田一竹美術館/くぼたいっちくびじゅつかん |
所在地 | 山梨県南都留郡富士河口湖町河口2255 |
関連HP | 久保田一竹美術館公式ホームページ |
電車・バスで | 富士急行河口湖駅からタクシーで20分 |
ドライブで | 中央自動車道河口湖ICから約7km |
駐車場 | 60台/無料 |
問い合わせ | 久保田一竹美術館 TEL:0555-76-8811/FAX:0555-76-8812 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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