愛媛県西条市洲之内にある真言宗石鈇派総本山の寺、前神寺(まえがみじ)。霊峰石鎚山の麓に建つ、石鎚信仰の根本道場で、四国八十八ヶ所霊場第64番札所。奈良時代、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ=役行者)により開かれ、桓武天皇の勅願寺として、歴代天皇に帰依された名刹。
石鎚信仰の根本道場として栄えた名刹
天武天皇(在位673年~686年)の御代に修験道の祖・役小角が石鎚山で修行した際、石鈇山大権現を感得したのが始まりという古刹。
石鎚山は、富士山、立山、白山の日本三霊山に、大峰山(奈良県)、釈迦ヶ岳(奈良県)、大山(鳥取県)、鎚山を加えた日本七霊山のひとつですが、その信仰の中心(根本道場)がこの前神寺です。
石鎚山の7合目標高1400m、現在の石鎚神社中宮成就社のある場所がもとの寺域で、石鎚山の別当寺として石鎚信仰の根本道場でしたが、明治の神仏分離、廃仏毀釈で廃寺となり、のちに現在地で再興されたもの。
桓武天皇の勅願所となり、金色院前神寺の名を賜り、その後、空海も入山して修行したという山岳信仰と仏教融合の霊地。
祀られる蔵王権現(ざおうごんげん)は、修験道の本尊(インドに起源を持たない日本独自の仏で、吉野山金峯山寺の蔵王権現は有名=役小角が吉野の金峯山で修行中に示現)。
文徳天皇、高倉天皇、後鳥羽天皇、順徳天皇、後醍醐天皇など多くの天皇が信仰し、伊予の領主となった福島正則も参籠するなど、山頂の弥山に鎮座する石鈇山蔵王権現(いしづちさんざおうごんげん)への信仰の中心的存在、遙拝所として栄えました。
現在の本尊は石鈇山大権現の本地仏である阿弥陀如来。
現在の前神寺が建つ場所は、江戸時代には塔頭・医王院があった地。
廃仏毀釈の荒波は山里にも及び、明治8年に廃寺となりますが、明治12年に檀家などにより復興願いが出され、前上寺(ぜんじょうじ)として復興。
明治22年になってようやく前神寺に戻されています。
毎年7月1日〜7月10日の夏の大祭「お山開き」には、大勢の白装束の信者が集合、法螺貝の音に「なんまいだ」を唱和し、険しい岩場に向かって出発しています。
毎月20日は、権現様縁日で、石鈇権現堂に安置の石鈇山蔵王権現三体が御開帳となります。
霊場間の距離・時間
63番札所・吉祥寺(愛媛県西条市氷見乙) — (3km/10分) — 64番札所・前神寺(愛媛県西条市洲之内甲) — (46km/1時間) — 65番札所・三角寺(愛媛県四国中央市金田町三角寺甲)
前神寺(四国八十八ヶ所霊場第64番札所) | |
名称 | 前神寺(四国八十八ヶ所霊場第64番札所)/まえがみじ |
所在地 | 愛媛県西条市洲之内甲1426 |
関連HP | 四国八十八ヶ所霊場会公式ホームページ |
電車・バスで | JR石鎚山駅から徒歩10分 |
ドライブで | 松山自動車道いよ西条ICから約9km |
駐車場 | 30台/無料 |
問い合わせ | 前神寺 TEL:0897-56-6995 |
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