旧国鉄武豊港駅転車台

旧国鉄武豊港駅転車台

明治19年、東海道本線の建設時に物資の輸送のために建設された愛知県で最初に開通した鉄道が現在のJR武豊線(たけとよせん)。旧武豊港の桟橋から熱田までの間に敷かれたのですが、現存する旧国鉄武豊港駅転車台は、昭和2年に始発駅だった国鉄武豊港駅に設置された転車台(ターンテーブル)。国の登録有形文化財に指定。

国内唯一の「直角二線式」の転車台を見学

転車台のある場所は、明治19年に開業した武豊線起点駅の武豊停車場があったところ。
衣浦湾側に全長140mの木製の桟橋が造られ、物資が荷揚げされ、貨車に積まれたのです。

東海道線の資材搬入の役割を終えて、武豊駅は明治25年に内陸の現在地に移りましたが、その後は貨物線として残され、昭和5年4月1日付で、武豊港駅として正式に開業しています(昭和40年に武豊港駅〜武豊駅を廃止)。

武豊港隣接地で明治34年に操業した旧ライジングサン石油(後のシェル石油)の油槽所へ貨車を出入させるための転車台で、当初は木造でしたが昭和2年に鉄製の2基に交換されています。

現存する転車台はそのうちの1基。
石油製品輸送用20t積み3軸タンク車に合わせて桁長は、7.25mとなっています。
貨車の方向転換を効率的に行なうために考案された「直角二線式」の転車台。
2本のレールが直角に交わる「直角二線式」の転車台は、国内では唯一のものとなっています。

資材を運搬する貨車を転車台に載せ、前後に2人ずつ立って転車台を90度回したのだとか。
地元の長老の話では転車台は、「とろんてんぷ」と呼ばれていたようですが、これはターンテーブルの転訛だと推測されます。

国道247号里中交差点の南東側にありますが、里中交差点から弧を描いてJR武豊駅方面に伸びる道路は、かつて武豊港まで伸びていた武豊線の廃線跡です(里中交差点南東角には「武豊停車場跡地」の記念碑が立っています)。

旧国鉄武豊港駅転車台
名称旧国鉄武豊港駅転車台/きゅうこくてつたけとよこうえきてんしゃだい
所在地愛知県知多郡武豊町忠白田地内
関連HP武豊町公式ホームページ
電車・バスでJR武豊駅から徒歩12分。名鉄知多武豊駅から徒歩15分
ドライブで南知多道路武豊ICから約3.4km
駐車場武豊町地域交流施設駐車場を利用
問い合わせ武豊町観光協会 TEL:0569-73-1100
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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