北秋田市の北部、標高42m~45mの米代川西岸の河岸段丘上に位置する縄文時代後期前葉(紀元前2000年~紀元前1700年頃)の遺跡が伊勢堂岱遺跡。秋田県では大湯環状列石(鹿角市)が有名ですが、伊勢堂岱遺跡も環状列石を中心とした遺跡で、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産。
ストーンサークルは4000年前の集団労働で構築!
伊勢堂岱遺跡からは、4つの環状列石を中心に、縄文時代の掘立柱建物跡、土坑墓、貯蔵穴、100mを超える溝状遺構などが北秋田市教育委員会の発掘調査で発見されています。
脇を流れる米代川には、食料となるサケ・マス類が遡上し、周辺には落葉広葉樹の森が広がり、縄文人の食生活を支えていました。
大館能代空港へのアクセス道路建設に先立ち、平成7年から発掘調査が行なわれ、直径32mの環状列石Aと、弧状の環状列石Bを発掘。
さらに環状列石Aの南側に直径45mの環状列石Cが、Cの南側からDが確認され、合計4基となっています。
環状列石Aの横からは掘立柱建物跡も発掘。
遺跡の重要性から平成8年12月に道路建設が中止され、平成13年に国の史跡となったこともあって保存と発掘調査が進められたのです。
隣接して4つもの環状列石が確認されている例は他になく、土偶、動物形土製品、鐸形土製品、岩版類、三脚石器、石剣類など祭祀・儀礼の道具も多数出土。
環状列石の下部には死者を埋葬した土坑墓がみられ、共同墓地であるとともに、祭祀・儀礼の空間だったと推測されています。
狩猟の道具だった石鏃(せきぞく=矢尻)、網漁に使われた重りの石錘(せきすい)、石皿、磨石などの生活用具、土偶、動物形土製品、鐸形土製品、岩版類、石剣などが出土しています。
大湯環状列石ではその完成までに200年を費やしたと推測されていますが、伊勢堂岱遺跡でも大規模な労働力の集中によって環状列石が構築されたのです。
使用される石は、安山岩、流紋岩、凝灰岩など25種類にも及び、近くの米代川だけでなく、その支流の小猿部川から運ばれ、もっとも遠距離の地点では5kmも離れた場所から運ばれたことがわかっています。
遺跡の脇を流れる湯車川には今も11月上旬には鮭が遡上するので、縄文人もこの鮭を貴重な食料にしたと推測できます。
一帯は縄文の森として整備され、順路で見学することが可能。
土偶・土器などの出土品300点は、ガイダンス施設を兼ねる「伊勢堂岱縄文館」に展示されているのであわせて見学を。
伊勢堂岱縄文館の休館日には、伊勢堂岱遺跡も閉鎖されるのでご注意を。
伊勢堂岱遺跡 | |
名称 | 伊勢堂岱遺跡/いせどうたいいせき |
所在地 | 秋田県北秋田市脇神伊勢堂岱 |
関連HP | 伊勢堂岱遺跡公式ホームページ |
電車・バスで | 秋田内陸縦貫鉄道小ヶ田駅から徒歩5分 |
ドライブで | 秋田自動車道能代南ICから約32km |
駐車場 | 100台/無料 |
問い合わせ | 伊勢堂岱縄文館 TEL:0186-84-8710/FAX:0186-84-8715 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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