日本キャニオン

日本キャニオン

青森県西津軽郡深浦町の景勝地、十二湖近くにある異色スポットが日本キャニオン。キャニオン (canyon)は、英語で谷、峡谷のこと。十二湖凝灰岩の白い岩肌が露頭する谷が、地質、規模は異なるもののアメリカのグランドキャニオン(Grand Canyon)を彷彿させるということで、日本キャニオンと命名されたもの。

駐車場から徒歩20分で日本キャニオン展望台

昭和28年10月22日、十二湖が深浦・十二湖県立自然公園に指定された際、国立公園審議委員で冒険家・岸衛(きしまもる)が「ベビーキャニオンじゃないか」と語ったことから岩崎村役場が日本キャニオンと命名したのが始まり。

それ以前にも、文豪・大町桂月は、大正11年11月7日に十二湖周辺をくまなく探勝、「日暮し山の眺望、湖畔群の幽闇、紅葉の残照など十二湖は天下の奇観である。他日、必ず天下にその名を知られるであろう」と賞賛していますが、この「日暮し山の眺望」こそ、現在の日本キャニオンなのです。
つまり、地元の人も、景観の良さから日が暮れるのも忘れるということで、「日暮山」(ひぐらしやま)と呼んでいたことがわかります。

十二湖、日本キャニオン周辺の地質に関しては、昭和7年、理学博士・荒川謙治が低位置氷河地遺跡だという説を提唱し(『津輕十二湖附近の氷河遺跡に就て』)、さらに『津輕十二湖研究-津輕十二湖の湖盆形態』(吉村信吉、木場一夫、尾原信彦、長津一郎=湖沼学者、地理学者など当時一線級で活躍した学者)で、「堆積物質によつて堰止められたものではなく、凝友岩の岩磐中にある侵蝕盆地 と解さなければならない。侵蝕の營力が何であるかについては諸説が提出され未だ決定するに至つてゐない」とし、低位置氷河地遺跡の可能性を示唆しながら、浸食地形であると断定しています。

しかし、現在では日本キャニオン(十二湖新日暮の断崖)は、大地震や大雨が引き金となって、大規模な山崩れを起こしたものではないかと考えられています。

十二湖の八景ノ池近く(八景ノ池の道を隔てた反対側)の駐車場が入口で、日本キャニオン展望台へは徒歩20分。
遊歩道を15分ほど歩けば、日暮ノ池に到達し、さらに1時間以上頑張れば鶏頭場ノ池、青池に到達しますが、バスの時間などをチェックしてプランニングが必要(整備されたハイキングコースですが、足回りはしっかりと、真夏は暑さ対策も)。

日本キャニオン
日本キャニオン
名称 日本キャニオン/にほんきゃにおん
所在地 青森県西津軽郡深浦町松神国有林
関連HP 深浦町観光公式サイト
電車・バスで JR十二湖駅から弘南バス十二湖行き(4月下旬~10月下旬運行)で5分、八景の池下車下車、徒歩15分
ドライブで 東北自動車道浪岡ICから約114km
駐車場 日本キャニオン駐車場(20台/無料)
問い合わせ 深浦町観光課 TEL:0173-74-2111
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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