青森県西津軽郡深浦町にある真言宗醍醐派の寺、円覚寺。大同2年(807年)、征夷大将軍・坂上田村麿創建と伝わる古刹です。近世には深浦湊が風待ち湊として栄え、廻船問屋などからの奉納された船絵馬などが残り、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成資産になっています。
奉納される船絵馬、髷額は国の重要文化財
平安時代後期、奥州藤原氏第2代・藤原基衡(ふじわらのもとひら=遺骸は中尊寺金色堂にミイラになって安置)が堂宇を再建したことが棟札などから判明しています。
境内に残る宝篋印塔は、福井の足羽山で産する笏谷石(しゃくだにいし)製で、北前船で運ばれたもの。
境内にそびえる「竜灯杉」と呼ばれる巨木は、船乗りたちが目印にし、漁師達から「助けの杉」と呼ばれるた巨杉です。
円覚寺の寺宝館(寺宝拝観は30分ほどの説明を受けながらで有料)に収蔵される天保7年(1836年)〜明治29年に奉納された船絵馬70枚と、天保9年(1838年)〜明治15年に奉納の髷を描いた「髷額」(まげがく)28枚は、国内最大級の船絵馬コレクションで、「円覚寺奉納海上信仰資料」(船絵馬70点、髷額28点、梶雛形2点、その他6点)として国の重要文化財に指定。
寛永10年(1633年)、越前国敦賀(現・福井県敦賀市)の庄司太郎左衛門が奉納した船絵馬には、当時の日本海で用いられた北国船(ほっこくせん)が描かれています。
北国船は弁財船の登場で、姿を消したため、幻の船とも呼ばれていて、この絵馬に描かれた姿は、実に貴重なのです(弁才船に比べて帆走性能が劣り、乗組員の数も多く要したため弁才船に置き換えられました)。
天保7年(1836年)奉納、「春日丸・八幡丸図」の船絵馬には、吉本善興景映の落款があり、青森県に現存する船絵馬では最古のもの。
「髷額」は、当時、海難にあった際に、髷(まげ)落とし、一心不乱に観音様に祈れば救われるという信仰があり、生還後に奉納したものです。
円覚寺(深浦町) | |
名称 | 円覚寺(深浦町)/えんがくじ(ふかうらまち) |
所在地 | 青森県西津軽郡深浦町深浦浜町275 |
関連HP | 円覚寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR深浦駅から徒歩20分 |
ドライブで | 秋田自動車道能代南ICから約68km。東北自動車道浪岡ICから約78km |
駐車場 | 5台/無料 |
問い合わせ | 円覚寺 TEL:0173-74-2029/FAX:0173-74-2032 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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