平安時代編纂の『延喜式』神名帳に記載の古社(式内社)で上総国(かずさのくに)一之宮が玉前神社(たまさきじんじゃ)。千葉県長生郡一宮町の町名はもちろんこの神社に由来しています。祭神は、玉依姫命(たまよりひめのみこと)。安産祈願の寺としても知られ、北条政子(源頼朝の妻)懐妊に際しては安産祈願の奉幣を受けています。
九十九里南端の釣ヵ崎海岸に神々が上陸!?
九十九里南端の釣ヵ崎海岸(玉の浦)に神々が波に乗って漂着した社伝は、九州など南方の民族がこの地に渡ってきたことを示す伝承かもしれません。
玉依姫という名は、霊(たま)の憑(よ)りつく巫女(神)で、玉前神社の神霊も、海中より玉として現れたと伝えられています。
神様が波に乗って漂着した釣ヵ崎海岸(玉の浦)は、今ではサーファーが集まる「波乗り道場」となっています。
玉前神社は、中世から近世には武門の尊崇もあり、徳川家康は15石を寄進しています。
戦国時代の戦火で往時の社殿は焼失し、現存する黒漆塗り、権現造りの社殿は貞享4年(1687年)の再建で千葉県の文化財に指定されています。
9月13日の例祭『上総十二社祭り』は、『上総の裸祭』と称し、社伝では大同2年(807年)に創始されたという千葉県でも最古の浜降神事。
祭神・玉依姫命に縁のある一族の神々が再会する神輿神幸祭で、一宮町宮原の南宮神社(氏子は一宮町東浪見と長生村金田を含む)、岬町中原の玉崎神社、同町椎木の玉前神社からそれぞれ大宮、若宮2基ずつの神輿、岬町谷上の谷上神社から1基の神輿、合わせて5社9基の神輿が一宮町東浪見の釣ヵ崎海岸(神々上陸の地と伝わる地)の祭典場へ渡御します。
裸の男達が神輿を奉じて九十九里浜を疾走する勇壮な祭として知られています。
社宝である梅樹双雀鏡(ばいじゅそうじゃくきょう=鎌倉時代作の銅鏡)は、かつては神前に掛けていたと推測できますが、国の重要文化財で千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。
鏡の裏面に梅の木と2匹の雀が描かれているのが名の由来です。
すぐ南にある玉崎山観明寺は、明治の神仏分離までの別当寺で、金毘羅堂は明治12年に玉前神社から移築したもの。
観明寺自体も行基開基、円仁(慈覚大師)中興と伝わる古刹です。
ちなみに上総国の国府は、少し離れて市原市惣社にあったと推測されています。
上総国二之宮は、茂原市の橘樹神社(たちばなじんじゃ)です。
玉前神社 | |
名称 | 玉前神社/たまさきじんじゃ |
所在地 | 千葉県長生郡一宮町一宮3048 |
関連HP | 玉前神社公式ホームページ |
電車・バスで | JR外房線上総一ノ宮駅から徒歩8分 |
ドライブで | 九十九里有料道路一宮ICから約3.2km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 玉前神社 TEL:0475-42-2711/FAX:0475-42-6922 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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