阿佐海岸鉄道、世界初のDMVを室戸岬へ運行!

阿佐海岸鉄道DMV

徳島県海部郡海陽町に本社を置く第三セクター・阿佐海岸鉄道が、令和3年12月25日(土)、徳島県海陽町と高知県室戸市(室戸岬)を結ぶ海岸沿いに、世界初となるDMV(デュアル・モード・ビークル)の運行を開始しました。道路から線路へ、線路から道路へモードチェンジする画期的な交通機関です。

室戸岬へ、世界初となるDMVで旅しよう!

阿佐海岸鉄道DMV
「阿佐海岸維新」の愛称が付いた3号車

世界で初めての本格営業となるDMV(デュアル・モード・ビークル)は、阿波海南文化村=(バスモード)=阿波海南駅~(鉄道モード)~甲浦駅=(バスモード)道の駅東洋町(=道の駅宍喰温泉)(以下バスモード)=むろと廃校水族館=室戸世界ジオパークセンター=室戸岬=海の駅とろむに運行。
運行する車両の外見はバスですが、阿佐海岸鉄道DMV93形気動車が正式名になっています。

徳島県側からJRを利用して室戸岬を目指す場合には、JR牟岐線(安房室戸シーサイドライン)で徳島駅から阿波海南駅に(所要2時間8分)。
ただし、目下、接続が悪いので、阿波海南駅で宿泊が必要に。
逆に室戸岬方面からだと接続がいいので、上り(室戸→徳島)で利用がおすすめです。

阿波海南駅で阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)に乗り換えれば、室戸岬方面に到達できるのです。

現在のところ、阿波海南文化村〜海の駅とろむ間は、土・日曜、祝日のみの運行で1日1往復。
阿波海南駅〜室戸岬は所要1時間18分。

座席定員制で定員18名なので、乗車にあたっては高速バス予約サイト「発車オーライネット」で、予約が必要(クレジットカード決済)。
阿佐海岸鉄道のホームページからも予約が可能なので(「発車オーライネット」の予約ページのリンクがあります)、まずは阿佐海岸鉄道で時刻などを確認の上に予約を。

DMV(デュアル・モード・ビークル)とは!?

DMV(デュアル・モード・ビークル)

DMV(Dual Mode Vehicle)は鉄道線路と道路の両方を走行できる旅客車両で、マイクロバスを改造して造られるため、鉄道車両より安価で保守コストも低いのが特徴。
開発元で、先行して実証実験が行なわれたのは、JR北海道。
石北本線北見駅〜女満別空港、釧網本線などで実証実験が行なわれましたが、JR北海道管内の既存の鉄道トラブルなどで導入を断念。
その後、明知鉄道(岐阜県)、南阿蘇鉄道(熊本県)、天竜浜名湖鉄道(静岡県)が導入を試み、試験運行を行ないましたが、少ない定員、DMV専用の保安システム(2本のレールに微弱の信号電流を流すという従来の信号システムでは車体が軽いため信号電流の感知ができない)などがネックとなり、いずれも実験段階止まりとなっていました。

逆に利用客がさほど多くないということが利点となって、初めて実用化したのが阿佐海岸鉄道です。
通勤通学時間に混むのではないかと思いきや、なんと阿佐海岸鉄道は、通学定期券発行数ゼロ。
そして混雑時間帯がないという「鉄道事情」が、世界初のDMV(デュアル・モード・ビークル)導入には絶好の条件だったのです。
現在、1列車あたり平均利用者は4人ほど。
高知へと延伸した路線で、仮に定員18名が埋まれば・・・という、まさに地域活性と、鉄道再生をかけた乗り物がDMV(デュアル・モード・ビークル)だったのです。

法的な裏付けは、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」で、「新地域旅客運送事業」にあたります。
つまりは目下人気の水陸両用バスと同じ扱い。
単車走行(連結無し)、線路上での交換(行き違い)なし、長大トンネルなし、モードチェンジ部は鉄道線路区間の両端のみ(途中駅、線路、踏切などからの線路進入脱出不可)などが条件で、認可されています。

DMV導入の目的は
1.観光活用による沿線地域活性化
2.阿佐海岸鉄道の経営改善と地域公共交通の拡充
3.南海トラフ地震などの災害時の交通インフラ
で、13億円(車両購入費用、阿佐海岸鉄道DMV93形気動車3台、合計3億6000万円)を投入して始まった事業です。

ちなみに、阿佐海岸鉄道の前身は国鉄阿佐線。
徳島から室戸経由で高知を結ぶ目的で着工された路線で、高知側は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線、徳島県側が阿佐海岸鉄道という3セクとして生き残っています。

画像協力/松島弘(土佐れいほく観光協議会)

掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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