群馬県渋川市、石段の温泉街・伊香保温泉(いかほおんせん)で目を引くのが温泉まんじゅうの店。伊香保では温泉まんじゅうを湯ノ花饅頭と呼んでいますが、その元祖といえるのが、明治43年創業の勝月堂(しょうげつどう)。実は、子の店が全国に広がる温泉まんじゅうのルーツといわれています。
茶色いのは「黄金の湯」をイメージしたから
勝月堂初代の半田勝三が伊香保温泉の茶褐色の湯をイメージして考案したもの。
10代の頃、東京・凮月堂(ふうげつどう)で修行していた半田勝三は、隣人で、中山道・安中宿の脇本陣に生まれたという須田逸平から、江の島土産の「江の島まんじゅう」を手に、伊香保の名物をつくってみてはとの提案を受け、「湯ノ花饅頭」を生み出したのです。
色が茶褐色なのは「黄金の湯」(こがねのゆ=茶褐色で鉄分を多く含む硫酸塩泉)をイメージして、黒砂糖を使っているから。
この湯の色を真似るというイメージも、実は須田逸平の発案。
試作段階では温泉水を使ってみたのですが、どうも味がよくない、そこで黒糖まんじゅうをヒントに、黒糖を練り込むことで、伊香保温泉の色の表現に成功したのです。
昭和9年11月、大本営を群馬県庁に置いての陸軍特別大演習(11月14日参加全軍の大観兵式を高崎練兵場で実施)が行なわれた際、群馬県が「湯乃花饅頭」2円分を購入して昭和天皇に献上、全国に茶色の温泉まんじゅうが広がったのだとか。
原料の小豆は北海道十勝産。
作り方は、創業以来変わらず、甘さ控えめのこし餡(あん)が入った素朴な味わいで今も手作り、保存料なし(代々社長だけが受け継ぐ秘伝のレシピで、門外不出)。
「餡をタネで包むのにも、熟練のコツがいる」とのこと。
「餡にもこだわっていますが、実は皮の美味しさが、勝月堂の自慢」。
ただし、保存料を使っていないので、賞味期限は翌日まで。
湯ノ花饅頭誕生の背景にあるのが、伊香保電気軌道開業
勝月堂が創業した明治43年は、木暮武太夫を社長に伊香保電気軌道が、渋川駅前〜伊香保間(12.6km)が開通した年(昭和31年廃止)。
東京へのPRも展開し、伊香保温泉の集客がアップした年で、まさに、温泉まんじゅうは、うってつけの温泉土産になったのです。
伊香保電気軌道は江ノ島電鉄をモデルにしていたので、開業を目指しての視察旅行に須田逸平が同行したのが、伊香保名物「湯ノ花饅頭」誕生物語の始まり。
勝月堂 | |
名称 | 勝月堂/しょうげつどう |
所在地 | 群馬県渋川市伊香保町伊香保591-7 |
関連HP | 勝月堂公式ホームページ |
電車・バスで | JR渋川駅から関越交通バス伊香保温泉行きで25分、徳冨蘆花記念館前下車、徒歩10分 |
ドライブで | 関越自動車道渋川伊香保ICから約11km |
駐車場 | 徳冨蘆花記念文学館駐車場(70台/有料) |
問い合わせ | 勝月堂 TEL:0279-72-2121 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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