桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)

桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)

群馬県桐生市、かつて「西の西陣、東の桐生」といわれた織物の町・桐生の商業に大きく寄与してきた矢野本店の蔵群を再生したのが、桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)。天保14年(1843年)〜大正9年に建てられた合計11棟の蔵が現存していますが、いずれも酒・醤油・味噌などの醸造業を営んだ時代のもの。

近江商人のサクセスストーリーを見事な蔵群に垣間見る

桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)
本町通りに面した矢野本店と左奥にレンガ蔵

桐生市桐生新町伝統的建造物群保存地区に指定される本町通りの一画、群馬県道66号桐生田沼線沿いに矢野商店の店舗、レンガ蔵が並び、その奥に仕込蔵、醤油蔵、味噌蔵、塩蔵、酒蔵、洋酒蔵、穀蔵、ビール蔵などが並んでいます。

そのうちレンガ蔵は桐生市でも最大級のレンガ建造物で、歴史的建物をそのまま映画祭や演劇祭など多目的イベントスペースとして開放されています。
ビール蔵は桐生からくり人形保存会が「桐生からくり人形芝居館」として再生。

享保2年(1717年)、近江商人(近江国・日野出身=日野商人)の初代・矢野久左衛門が、行商をしながら桐生新町に定住。
その後、2代目の矢野久左衛門が寛永元年(1748年)に店を構え、清酒醸造と質商を開業しています。

商号は、「近江屋喜兵衛」で、味噌醤油醸造、荒物商、呉服太物商と事業を拡大。
明治初年、荒物業部門独立し、近江屋矢野支店とし、味噌醤油醸造、酒類販売部門は矢野本店となっています。
経営理念は近江商人らしく、「三方良し」。
味噌・醤油の商号にもなった「有隣」は、孔子の「徳孤ならず必ず鄰あり」(徳のある人の周囲には同類のものが自然に集まる)という故事から引用したもの。

近江商人は、主人は国元に住むのが常識でしたが、11代目となる矢野昭は、妻子とともに桐生に定住。
積極的に地域に貢献し、蔵群を桐生市に寄贈して桐生市有鄰館が生まれたのです。

現在は株式会社矢野となり、有鄰館に隣接するルーツの地(矢野本店)にはお茶を販売する矢野園が建ち、「矢野園・喫茶有鄰」を営んでいます。
大正5年築の店舗は桐生市の重要文化材。
桐生からくり芝居は、現存する資料では明治27年、江戸浅草の人形師・竹田縫之助の興行が最初です。

桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)
イベントなどに活用されるレンガ蔵
桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)
名称 桐生市有鄰館(旧矢野蔵群)/きりゅうゆうりんかん(きゅうやのくらぐん)
所在地 群馬県桐生市本町2-6-32
関連HP 桐生市公式ホームページ
電車・バスで 上毛電気鉄道西桐生駅から徒歩15分。または、JR桐生駅から徒歩18分
ドライブで 北関東自動車道太田桐生ICから約13km
駐車場 10台/無料
問い合わせ 桐生市有鄰館 TEL:0277-46-4144/FAX:0277-46-4144
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
矢野園・喫茶有鄰(矢野本店)

矢野園・喫茶有鄰(矢野本店)

寛永元年(1748年)に近江商人(日野商人)・矢野久左衛門が桐生(現・群馬県桐生市)で清酒醸造と質商を開業したことに発する商家、矢野。その矢野本店の建物(かつての矢野の酒販部門の店)でお茶を販売し、喫茶店として営業するのが矢野園・喫茶有鄰で

 

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