兵庫県尼崎市と西宮市武庫川町の間を流れる武庫川の上に駅のホームがあるのが、阪神本線・武庫川駅。駅舎は尼崎市側(武庫川の堤防上)、西宮市側(堤防内部)と両側に置かれ、相対式ホーム(全長173m)2面2線は、武庫川の橋梁上に位置しています。「近畿の駅百選」にも選定。
全長173mのホームは武庫川の上に!
明治38年4月12日、阪神本線の開通と同時に開業した歴史ある駅で、当初は大庄村(おおしょうむら/現・尼崎市)に駅舎がありました。
大正9年8月〜大正12年2月に「暴れ川」として知られた武庫川の河川改良(河川幅の拡大、流路の屈曲を矯正、堤防の嵩上げ)が行なわれ、その際に川の流れを阻害しないために橋脚の本数を少なくするなどの必要が生じ、橋梁を上流に架け替えることになりました。
大庄村(尼崎市)側にホームを築けば鳴尾村(西宮市)側から遠くなる、鳴尾村(西宮市)にホームを築けば用地買収に経費がかかるという問題を克服するため、昭和10年に現在の橋梁上のホームが誕生したのです。
西宮市側に駅舎が設けられたのは、昭和59年のこと(西宮市側の改札口は阪神武庫川線と統合)。
ホームが橋の上なので、もしスマホを落とせば、川にドボンとなる可能性も(橋から水面までの距離が5m)。
「落とし物をする方がいないか気になります」と駅員も心配顔。
しかも川に架かるの橋にホームを建設すれば耐久性を高める必要があり、保守費用なども余分に必要となるなど欠点もあるため、一見すると便利そうでも鉄道会社にはデメリットもあり、阪神電鉄の駅では、香櫨園駅(こうろえんえき/西宮市)、芦屋駅(芦屋市)でホームの一部が河川上ですが、ホームすべてというのは武庫川駅だけ。
JR土讃線・土佐北川駅(穴内川を渡る下路式トラス橋の上)など、全国的にも希少な存在となっているのです。
武庫川が増水すればホームから迫力ある河川風景を眺めることができるわけですが、過去には70cmにまで迫ったこともあったのだとか。
阪神電鉄・武庫川線のホームは西宮市側の堤防内・河川敷部分にあるので、連絡通路で連絡(西宮市側の駅舎内、武庫川線ホーム入り口手前に中間改札を設置)というかたちを採っています。
橋梁が駅となっているのは、阪神本線・武庫川駅のほか、JR土讃線・土佐北川駅、都営新宿線・東大島駅、伊予鉄道横河原線・石手川公園駅が知られています。
ちなみに、阪急神戸線も武庫川の橋梁上に武庫川新駅を開業する予定となっています(上下線の橋梁に2面2線のホーム、改札口は両岸に設置)。
武庫川駅 | |
名称 | 武庫川駅/むこがわえき |
所在地 | 兵庫県尼崎市大庄西町1丁目・西宮市武庫川町 |
関連HP | 阪神電車公式ホームページ |
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