北海道駒ヶ岳の山麓をぐるりと回る函館本線砂原支線。車で行っても駅が分かりづらいことから「秘境駅」とも称されるのが、渡島沼尻駅(おしまぬまじりえき/北海道茅部郡森町)です。近年、木造の駅舎も壊されたため、ホームがあるだけの簡素な駅で、秘境ムードも満点。近隣に民家も数えるほどで、利用者もほとんどいません。
1日数本、普通列車が停車します
前身は、昭和20年6月1日、函館本線(砂原線)の大沼駅〜渡島砂原駅間の開通に伴って、渡島沼尻信号場(おしまぬまじりしんごうじょう)として開設されたもの。
単線非電化区間ですが、渡島沼尻信号場の部分は複線で、列車交換(列車の行き違い)が行なわれるため、簡易的なホームをつくって仮乗降場として旅客の取り扱いを始めました。
昭和62年4月1日、国鉄の分割民営化で、JR北海道が生まれた際に、晴れて駅としてデビューを果たしましたが、駅舎やホームは以前の渡島沼尻信号場・仮乗降場時代のままで(国鉄時代には時刻表に載らない駅でした)、鉄道ファンが「朝礼台ホーム」(短く簡素なホーム)と呼ぶような駅になっています。
しかも平成3年12月24日に駅舎の一部を撤去、そしてついに令和3年11月には駅舎の撤去が行なわれたため、森と牧草地のなかにホームだけという北海道らしい駅となったのです(道南でも森町にはこうした駅があります)。
ホームは簡素な木造ではなく立派な石積ですが、ホーム長は1両分だけで、しかも砂利敷(乗客の乗り降りを想定していなかったため、もっとも安価な砂利敷になったのだとか)。
かつて駅舎があったのは駅員がいて、ポイントの切替や保線作業を行なっていたため。
過去にはテレビ東京のドラマ『鉄オタ道子、2万キロ』の第7話が北海道・渡島沼尻駅 「レトロ列車で秘境駅へ」で紹介されたほか、「1日に1本しか普通列車が停車しない駅」として地元HTB(北海道テレビ)の『探検!秘境駅』(旅人は六角精児)の栄えある第1回放送にも取り上げられています。
ちなみに、函館本線砂原支線は、特急などは走っていませんが、物流幹線ルートで、貨物列車はたくさん走行しています。
周囲は森と牧草地! 渡島沼尻駅 | |
名称 | 渡島沼尻駅/おしまぬまじりえき |
所在地 | 北海道茅部郡森町砂原東5 |
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