安積疏水

安積疏水

水利が悪く不毛の大地だった郡山の安積原野(あさかげんや)に猪苗代湖からの水を引いた明治時代の大事業で開削された用水が安積疏水(あさかそすい)。琵琶湖疏水(滋賀県、京都府)、那須疎水(栃木県)と並んで日本三大疎水にも数えられますが、この安積疏水は明治12年着工で、もっとも早くに完成をみた大規模な疎水です。疎水百選に選定。

不平士族の授産、殖産興業を目的にした国家プロジェクトで建設

オランダ人技術者コルネリス・ヨハネス・ファン・ドールン(Cornelis Johannes van Doorn)が、大久保利通ら明治政府の命を受け、実地調査を行ない、沼上峠開削案が最適であると報告し(掘削する場所に関して斉木峠、三森峠、御霊櫃峠、沼上峠の4案がありました)、明治12年10月28日に十六橋水門から着工。
3年の年月を費やし、延べ85万人の労働力を注いで、明治15年8月10日に完成(試験通水)、10月1日に開成山大神宮で開通式が行なわれています。
安積疏水開削当時の取水口は、猪苗代湖東岸の山潟水門(山潟取水口)でしたが、昭和20年から始まった国営新安積開拓建設事業により現在の上戸頭首工が築かれ、水路も山中の地下へと移設されています。

安積疏水は、幹線水路の延長52km、分水路78km、トンネル37ヶ所、受益面積が約3000haという大事業です。
明治初年には全国で不平士族の反乱が勃発していました。
明治政府の殖産興業、士族授産という方針もあり、安積疏水建設工事には明治維新で職を失った諸藩の旧藩士たち、全国9藩から2000余人が参加しています。

明治13年、日橋川が猪苗代湖から流出する猪苗代湖の東岸には、水門を兼ねた石造アーチ橋の十六橋水門を築き、猪苗代湖をダム化しています。

十六橋水門は、日本海への流量を調整し、猪苗代湖の水位を保つための水門で、経済産業省の近代化産業遺産、土木学会選奨土木遺産に選定。

明治31年には発電に利用されるようになり、郡山に郡山絹糸紡績(現・日東紡)が設立されています。
そして明治41年からは飲料用水としても活用されています。

安積疏水の最終地点、福島県郡山市の麓山公園(はやまこうえん)の一角には、明治15年に郡山の開成社などの有志が安積疏水の通水を記念して造った麓山の飛瀑が落ちています。

安積疎水は「未来を拓いた『一本の水路』~大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗代~」として日本遺産に登録されています。

安積疏水
名称 安積疏水/あさかそすい
所在地 福島県耶麻郡猪苗代町
電車・バスで JR上戸駅から徒歩15分で上戸頭首工
ドライブで 磐越自動車道磐梯熱海ICから約14kmで上戸頭首工
駐車場 上戸浜駐車場(50台/無料)
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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