勝山の平泉寺にいた僧・東尋坊(とうじんぼう)が名の由来となった越前加賀海岸国定公園随一の景勝地で、坂井市三国町北部に続く海食崖の小さな岬。約1200万年前に噴出した輝石安山岩からなる柱状節理が、高さ25mにもおよぶ断崖をつくり、日本海に突出する壮大な景観をみせています。国の名勝、天然記念物。「日本の地質百選」に選定。
見事な柱状節理の断崖絶壁が続く
岬となった東尋坊の付け根の位置する駐車場(バス停)から、波の打ち寄せる東尋坊の断崖へは、土産屋がずらりと並ぶ東尋坊商店街を通ります。
蝋燭岩(ろうそくいわ)、屏風岩、三段岩、ライオン岩、千畳敷、大池(入江)など、海食台や海食洞、離れ岩、入江など、奇岩、奇観が連続し、変化に富んだ自然美は、所要約30分の観光遊覧船で巡ることもできます。
また、三国米ヶ脇から東尋坊を経て、雄島近くまで続く約4kmの道程には、荒磯遊歩道を整備されており、シーサイドハイキングも楽しめます。
東尋坊〜雄島までの散策のお手軽プランなら2km、所要30分(片道)。
高見順、三好達治、高濱虚子など、三国ゆかりの文学者の碑が立ち、海岸美を眺めながらの散策が可能。
逆に、岬を回り込んだ越前松島側の崎漁港から雄島付け根の三国海浜自然公園までは、二の浜海岸遊歩道が通っており、こちらも海岸歩きで自然観察ができます。
東尋坊は日本海に沈む夕日の名所でもあり、日が西に傾く夕方にここを訪れるのもおすすめです。
東尋坊断崖近くに「救いの電話」が設置されているのは、かつてここが自殺の名所だったから(地形的な要因から、飛び降りても簡単には死ねません)。
北陸三県(富山、石川、福井)で日本の地質百選に選定されるのは、東尋坊のほか、魚津埋没林(富山県)、立山カルデラ(富山県)の4ヶ所のみです。
1182(寿永元)年4月5日、平泉寺の僧たちは皆で相談し東尋坊を海辺見物に誘い出し、酒宴を開きます。
僧の一人、真柄覚念が酒に酔って眠りこけた東尋坊を、断崖から突き落としたのです。
毎年東尋坊が落とされた4月5日の前後には烈風が吹き、海水が濁るのだとか。
地元では、東尋坊と真柄覚念が女性を巡っての恋敵同士だったことを前面に押し、「悲恋の舞台」だったことをPRしています。
勝山にあった平泉寺は比叡山延暦寺の末寺。
白山信仰の越前での拠点として717(養老元)年、泰澄が開山したと伝わる名刹です。
源義経が平泉に落ち延びる際にも、平泉寺の観音堂で一夜を明かしたといいますが、平泉寺が擁した8000人という僧兵を頼ったのかもしれません。
往時の勝山は、九頭竜川の舟運で越前三国湊と通じていました。
現在の勝山市平泉寺には「東尋坊」の住居跡の碑があるので、東尋坊が実在の僧だったことがわかります。
東尋坊 | |
名称 | 東尋坊/とうじんぼう |
所在地 | 福井県坂井市三国町安島 |
関連HP | DMOさかい観光局公式ホームページ |
電車・バスで | JR福井駅から京福三国芦原線で40分、三国駅下車、京福バス東尋坊行きで15分 |
ドライブで | 北陸自動車道金津ICから約17.4km |
駐車場 | 東尋坊市営駐車場(170台/有料) |
問い合わせ | 坂井市三国観光協会 TEL:0776-82-5515/FAX:0776-82-6988 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
取材協力/福井県
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag