立山カルデラ砂防博物館

立山カルデラ砂防博物館

富山県中新川郡立山町芦峅寺、富山地方鉄道と立山ケーブルの乗換駅である、立山黒部アルペンルート立山駅前にある異色のミュージアムが立山カルデラ砂防博物館。立山火山が生んだ巨大な立山カルデラの歴史や自然と、立山砂防、常願寺川について紹介する公立の博物館です。

知られざるもうひとつの立山

立山黒部アルペンルート途中の弥陀ヶ原や室堂の南側に位置する立山カルデラ。
東西約6.5km、南北約4.5kmの巨大な凹地で、立山火山に食い込んだ谷が激しい侵食作用によって拡大してできた侵食カルデラです。

戦前は立山温泉という湯治場もあり、信州・大町側から針ノ木峠からザラ峠を経て立山温泉に至り、松尾坂から弥陀ヶ原、室堂へと達する立山登山ルートは、明治時代に「日本アルプス」(Japanese Alps)の名づけ親であるウィリアム・ガウランド(William Gowland)、イギリス領事館の書記官(後のイギリス公使)、アーネスト・サトウなども利用しています。
針ノ木峠と立山温泉を結ぶ道は、明治13年に日本最初の有料道路として道幅9尺の立山新道が開削されていますが、維持管理ができず、2シーズンだけで廃止されています。

そんな往時の交易路も、今は絶え間なく続くカルデラ壁などの崩壊と戦う砂防工事が行なわれています。
崩壊などの危険防止のため工事関係車両以外は立ち入ることができない場所ですが、立山砂防工事専用軌道(立山砂防軌道)は、一般の公開日もあり人気を集めています。

立山カルデラ砂防博物館では、「立山カルデラの自然と歴史」、「砂防」の2つのテーマを「知られざるもうひとつの立山」をコンセプトにして紹介。
SABO展示室は無料、立山カルデラ展示室は有料です。
立山カルデラのジオラマ、安政5年2月26日(1858年4月9日)の大地震、立山砂防工事専用軌道(立山砂防軌道)など興味深い展示があります。
安政5年(1858年)の飛越地震で、立山カルデラは大鳶、小鳶の両山をはじめとして各所で崩壊し、常願寺川の上流をせき止め、さらに14日後に起こった余震で、川をせき止めていた土砂が崩れ、大土石流が生まれています。
この山体崩壊は、稗田山崩れ(長野県小谷村)、大谷崩(静岡市葵区)とともに日本三大崩れと称されています。

立山砂防工事専用軌道(立山砂防軌道)のシミュレータをもあり、スイッチバックで崖を登る雰囲気を体感できます。
富山県と立山カルデラ砂防博物館が主催する「立山カルデラ砂防体験学習会」は、立山カルデラ砂防博物館のホームページで確認を。

ちなみに、白岩堰堤(本堰堤の堤高63m、副堰堤をあわせた落差108mで、砂防堰堤としては日本最大)、本宮堰堤(最大級の貯砂量を誇る重力式コンクリート堰堤)、泥谷堰堤(標高差120mの急傾斜の谷筋に建造された22基の階段式堰堤)は、常願寺川砂防施設として国の重要文化財に指定。

立山カルデラは、弥陀ヶ原にある立山カルデラ展望台からも眺望できます。

立山カルデラは、日本の地質百選にも選定。
北陸三県(富山、石川、福井)で日本の地質百選に選定されるのは、立山カルデラのほか、魚津埋没林(富山県)、百万貫の岩(石川県)、東尋坊(福井県)の4ヶ所のみです。

立山カルデラ砂防博物館
名称 立山カルデラ砂防博物館/たてやまかるでらさぼうはくぶつかん
所在地 富山県中新川郡立山町芦峅寺ブナ坂68
関連HP 立山カルデラ砂防博物館公式ホームページ
電車・バスで 富山地方鉄道立山駅から徒歩1分
ドライブで 北陸自動車道立山ICから約23km
駐車場 16台/無料、周辺に無料駐車場(430台)もあり
問い合わせ 立山カルデラ砂防博物館 TEL:076-481-1160/FAX:076-482-9100
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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