立山カルデラ展望台

立山カルデラ展望台

立山黒部アルペンルート途中、弥陀ヶ原(みだがはら)にある展望地が立山カルデラ展望台。立山高原バスを弥陀ヶ原で下車し、「国民宿舎 天望立山荘」入口横から森林帯の中の遊歩道を歩けば立山カルデラ展望台で立山黒部ジオパークのジオサイトにもなっています。展望台からは立山カルデラ、そして日本三大崩れのひとつ、鳶山崩れを眺望します。

立山カルデラ、鳶山崩れを眺望

立山カルデラ展望台
左から浄土山、龍王岳、鬼岳、獅子岳、ザラ峠

バス停から片道15分程度で到達できますが、往路は上り、帰路は下りとなります。
6月頃までは残雪の中を歩くことになるので、赤色のポールを目印にすることに。

立山カルデラ展望台は、カルデラの外輪山に位置し、眼下に刈込池や砂防ダム群を眺望します。
また、五色ヶ原から薬師岳にかけての稜線からカルデラ底への断崖も迫力がありますが、とくに五色ヶ原の奥側に見えるピークが鳶山(とんびやま)で、そこから立山カルデラ側の崩落が鳶山崩れです。

立山カルデラは、立山火山の崩壊と侵食によって生まれた東西6.5km、南北5.0kmの凹地。
純粋な陥没カルデラではなく、侵食による崩落なので、カルデラという呼称に異議を唱える人もいます。

立山カルデラ探勝は、「弥陀ヶ原ホテル」、「国民宿舎 天望立山荘」に宿泊して、弥陀ヶ原散策とセットにするのがおすすめです。

鳶山崩れ

鳶山崩れは、幕末の安政5年2月26日(1858年4月9日)、飛越地震(ひえつじしん/推定M7.0〜M7.1、富山・岐阜県境の跡津川断層が震源)で発生した鳶山の大崩落。
もともと立山カルデラで本来は同じ立山火山の弥陀ヶ原と五色ヶ原は分断されていましたが、この飛越地震で五色ヶ原にあった外輪山の大鳶山と小鳶山は完全に消滅し、立山カルデラに大量の土砂が流れ込んだのです。
小鳶・大鳶はカルデラ底にあった出シ原温泉=立山温泉から見上げたとき、鳶のように切り立ったピークでしたが、芦峅寺村の調査では「大鳶山は頭から二、三分崩れ落ち、小鳶山は半分以上崩れた」と報告されています。
天狗平・室堂平側の天狗山~国見岳の南斜面、浄土山の南西斜面でも崩落が起きています。

当時、立山カルデラには立山登拝の登山基地ともなる出シ原温泉(立山温泉)がありましたが、土石流に巻き込まれて消滅、薪伐採や山仕事、工事人夫で温泉小屋に宿泊していた30数名が犠牲になっています。
崩壊土砂量は全量で4.1億立方メートルと推測され、有史以来日本最大規模の崩落です。
湯川、真川に堰き止め湖(天然ダム)が生まれ、その決壊で富山平野は甚大な被害を受けています。

そのため、立山カルデラでは現在も砂防工事が行なわれ、国土交通省立山砂防工事専用軌道(全長18km/スイッチバック8ヶ所/登録記念物)を使って作業が行なわれています。

立山カルデラは、日本の地質百選にも選定されますが、北陸三県(富山、石川、福井)で日本の地質百選に選定されるのは、立山カルデラのほか、魚津埋没林(富山県)、東尋坊(福井県)の4ヶ所のみとなっています。

取材協力・弥陀ヶ原ホテル

立山カルデラ展望台
名称 立山カルデラ展望台/たてやまかるでらてんぼうだい
所在地 富山県中新川郡立山町弥陀ヶ原
電車・バスで 富山地方鉄道立山駅、または、関電トンネル電気バス扇沢駅から立山黒部アルペンルート利用
ドライブで 北陸自動車道立山ICから約25kmで立山駅駐車場。長野自動車道安曇野ICから約40kmで扇沢駐車場
駐車場 立山駅駐車場(900台/無料、混雑時は臨時駐車場を600台/無料を開設) 扇沢駐車場(350台/有料、230台/無料、混雑時は臨時駐車場を600台〜800台/有料を開設)
問い合わせ 立山黒部アルペンルート オフィシャルガイド TEL:076-432-2819
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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