人道の港 敦賀ムゼウム

人道の港 敦賀ムゼウム

福井県敦賀市金ケ崎町、敦賀港・金ヶ崎緑地に臨む地に建つヨーロッパへの玄関港として機能した敦賀港の歴史を紹介する博物館が人道の港 敦賀ムゼウム。ロシア革命後の1920年代のポーランド孤児、昭和15年〜昭和16年、杉原千畝(すぎはらちうね)発行の「命のビザ」を携えたユダヤ難民が上陸した敦賀港の歴史を解説。

「欧亜国際連絡列車」の歴史を知ることも可能

明治時代まで、日本の物流は日本海を航走する北前船が支えていました。
明治17年4月16日、柳ヶ瀬トンネル開通に伴う北陸線が金ヶ崎駅(後の敦賀港駅)まで開業したことで、それまで下関回りだった日本海の物流が(舟運のため下関から瀬戸内海を回り、1ヶ月ほど要することも)、敦賀から北陸線経由で関西圏に運ばれるようになりました(当初は長浜〜大津は琵琶湖湖上を鉄道連絡船で運搬)。

明治45年6月15日、敦賀からロシア・ウラジオストクへの航路に連絡する形で、ボート・トレイン(Boat train=船車連絡列車)を運転開始。
東京~敦賀港駅の夜行急行列車に、ウラジオストク航路が連絡し、さらに大正5年のシベリア鉄道全通を受け、ウラジオストクからシベリア鉄道経由でヨーロッパへと到達できることから、「欧亜国際連絡列車」となったのです。

こうしてシベリア鉄道の全通(大正5年)から、敦賀港はヨーロッパへの玄関港になったため、ロシア革命(大正6年)後、革命の影響で、シベリアで家族を失ったポーランドの子どもたちは、日本赤十字社などの迅速な活動により救済され、敦賀港に上陸したのです。

そして昭和15年〜昭和16年には、リトアニアのカウナス領事代理・杉原千畝(すぎうらちうね)が発給した「命のビザ」を携えたユダヤ人たちは、シベリア鉄道でウラジオストクへと逃れ、新日本海汽船「天草丸」で、敦賀港に上陸したのです。

大陸への玄関・敦賀港、ポーランド孤児、ユダヤ難民という3つのテーマを常設展示し、シアターでは、なぜポーランド孤児とユダヤ難民が敦賀港に上陸したのか、「人道の港敦賀」にまつわるエピソードを映像で紹介しています。

建物自体も旅客の入出国を管理した「税関旅具検査所」、「欧亜国際連絡列車」が発着した「敦賀港駅舎」、商船代理店の「大和田回漕部」、ウラジオストク間の定期航路を運航した「ロシア義勇艦隊」事務所の洋館4棟を模した外観。

日本遺産「海を越えた鉄道~世界へつながる 鉄路のキセキ~」も「欧亜国際連絡列車」の歴史を中心に構成され、人道の港敦賀ムゼウムもその構成資産になっています。
東京からベルリン、パリまでの切符を買うことができた「欧亜国際連絡列車」。
人道の港 敦賀ムゼウムではそんな歴史を知ることもできます。

周辺には、敦賀鉄道資料館(旧敦賀港駅舎)も復元され、旧敦賀港駅ランプ小屋も現存するので、あわせて見学を。

杉原千畝に関しては、岐阜県八百津町に「杉原千畝記念館」があります。

人道の港 敦賀ムゼウム
名称 人道の港 敦賀ムゼウム
所在地 福井県敦賀市金ケ崎町23-1
関連HP 敦賀市公式ホームページ
電車・バスで JR敦賀駅からコミュニティバス海岸線8分、または、ぐるっと敦賀周遊バス観光コースで10分、金ヶ崎緑地下車
ドライブで 北陸自動車道敦賀ICから約3km
駐車場 金ヶ崎緑地駐車場(128台/無料)
問い合わせ 人道の港 敦賀ムゼウム TEL:0770-37-1035/FAX:0770-37-1036
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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