ひたちなか市にある7世紀前半に築造された全長56.5mの前方後円墳が虎塚古墳(とらづかこふん)。昭和48年に明治大学・大塚初重(おおつかはつしげ)教授による発掘調査が行なわれ、横穴式石室内部に赤色のベンガラ(第二酸化鉄)が使用された装飾壁画を発見。翌年に国の史跡となっています。埋葬されたのは地元の豪族と推測されています。
東日本で初めての装飾壁画が発見された古墳
ひたちなか市を流れる本郷川右岸の台地上に築かれた前方後円墳。
後円部直径32.5m、前方部は幅38.5mと前方部が発達した古墳時代後期古墳の特徴を有しています。
昭和48年9月12日に発見された壁画は、凝灰岩の表面に白土(白色粘土)を塗り、ベンガラ(酸化第二鉄)で連続三角文(れんぞくさんかくもん)や環状文、円文(えんもん)などの幾何学文と、靭(ゆぎ=背中に背負う矢を収納する入れ物)、槍、楯(たて)、 太刀 (たち)など古墳時代の武器や武具を文様として描いています。
石室の内部からは、成人男子の遺骸の一部と副葬品の小大刀、刀子(とうす=ものを切ったり削ったりして加工する小刀)、鉄鏃(てつぞく=石鏃に代わって用いられるようになった鉄製の矢じり)などが出土しています。
壁画の状態を保つため、内部の一般公開は春(4月上旬頃)と秋(11月上旬頃)の年2回(各8日間)に限定(観覧料が必要)。
虎塚古墳の北西500mの畑の中に、巨大な石室が露出する虎塚4号墳もあり、虎塚古墳群を形成しています。
また300mほど離れた場所(徒歩10分)には茨城県の史跡に指定される十五郎横穴群(じゅうごろうよこあなぐん=十五郎穴/古墳時代終末期から奈良時代の300基ほどをか数える横穴墓)もあり、一帯が古くから拓けた地であることがわかります。
装飾古墳は現在600基ほどが見つかっていますが、東日本では茨城県から福島県に集中し(山畑横穴群、羽山横穴、清戸迫横穴、泉崎横穴、中田横穴)、その南限に位置するのがこの虎塚古墳です。
歴史的な背景や詳細は、駐車場のある「ひたちなか市埋蔵文化財調査センター」で学習を。
虎塚古墳 | |
名称 | 虎塚古墳/とらづかこふん |
所在地 | 茨城県ひたちなか市中根指渋3494-1 |
関連HP | ひたちなか市公式ホームページ |
電車・バスで | ひたちなか海浜鉄道湊線中根駅から徒歩25分 |
ドライブで | 北関東自動車道ひたちなかICから約1.8km |
駐車場 | ひたちなか市埋蔵文化財調査センター駐車場(30台/無料)を利用 |
問い合わせ | 埋蔵文化財調査センター TEL:029-276-8311 教育委員会文化財室 TEL:029-273-0111 |
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