日本で唯一「自由に入れる大王墓」が高槻市に

今城塚古墳

大王墓(天皇陵)は、天皇陵として宮内庁が管理する場合がほとんどで、周濠の外側に拝所が設けられ、内部は立ち入り不可になっています。そんななかで大王墓ながら自由に立ち入ることができるのが、大阪府高槻市にある今城塚古墳(いましろづかこふん)。数多くの埴輪も出土していますがその製造工場も見学できます。

被葬者は継体天皇という説が有力で、まさに大王墓!

「立ち入ることができる全国唯一の大王墓」と、地元・高槻市も積極的にPRしていますが、まだまだ東日本で知る人は古墳好きくらい。
堤の張出部の埴輪祭祀場(はにわさいしば)からは、家、器台、大刀、盾、巫女、武人、力士、鳥など、136点以上の形象埴輪が出土、古墳の内堤には、その大王のハニワ祭(埴輪祭祀場)が再現され、その一部は実際に触れることができます(200点以上の形象埴輪が並んで壮観)。
「大王のハニワ祭が再現されているのは日本でここだけです」(今城塚古代歴史館)と胸を張る内容に。
しかも築造当時と同じ大きさ、形、場所に置かれるというこだわりです。

墳丘長190m、6世紀前半の古墳としては最大というこの今城塚古墳、誰が眠っているのかといえば、聖徳太子の曽祖父にあたる継体天皇(けいたいてんのう)が被葬者だと推測されています。
継体天皇は、6世紀初期に在位したヤマト王権の大王。
『日本書紀』では男大迹王(をほどのおおきみ)、『古事記』では袁本杼命(をほどのみこと)と記されていますが、この時代、まだ天皇という呼称、制度はありませんでした。
正しくは天皇ではなく大王(おおきみ)ということになります。

ヤマト王権、つまりは諸国連合の時代を経て、7世紀になって統一国家が成立。
645年の大化の改新で、本格的な中央集権国家の建設が始まります。
初めて「天皇」を自称したのは壬申の乱(じんしんのらん=大友皇子と後の天武天皇となる大海人皇子の闘争)後の673年3月20日(天武天皇2年2月27日)に即位した天武天皇とする説が有力で、それ以前の古墳は、大王墓というのが正しいことになります。

今城塚古墳は、今城塚古墳公園として整備され、ビジターセンターの古代体感ミュージアム「今城塚古代歴史館」とともに「いましろ大王の杜」と称されています。
また、日本最大の埴輪工場とされる新池埴輪製作遺跡を整備して新池ハニワ工場公園があり、「ハニワ工場館」(10:00~17:00)では今城塚古墳に配された埴輪製作の様子を学ぶことができます。

今城塚古墳
新池ハニワ工場公園
日本で唯一「自由に入れる大王墓」が高槻市に
名称 今城塚古墳/いましろづかこふん
所在地 大阪府高槻市郡家新町
関連HP 高槻市公式ホームページ
電車・バスで JR摂津富田駅から徒歩25分
駐車場 今城塚古代歴史館駐車場(35台/無料)を利用
問い合わせ 今城塚古代歴史館 TEL:072-682-0820
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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