岩手県公会堂

岩手県公会堂

岩手県盛岡市、岩手県庁の隣に建つ昭和2年築のレトロな公会堂が岩手県公会堂。設計は、早稲田大学・大隈講堂や日比谷公会堂の設計で有名な建築家・佐藤功一で、国の登録有形文化財に指定。当初は県会議事堂、大ホール、西洋料理店、皇族の宿泊所が備わっていました。現在は貸しホール、貸し室として利用可能。

アール・デコ様式の意匠にも注目を!

大正デモクラシーの高揚期、庶民が集う場所として機能したのが、岩手県公会堂。
ともに、スクラッチタイル張り外装、塔屋を備え、同じ佐藤功一設計の日比谷公会堂と非常によく似た外観をしているのも特徴です(岩手県公会堂は2年前に完成)。
耐震壁構造を備えた近代コンクリート建築の先駆け的な存在になっています。

内部に残る漆喰の美しいレリーフ、曲線のバルコニーなどは、1925年様式といわれたアール・デコ様式(ニューヨークの摩天楼など、西欧では1910年代半ばから1930年代にかけて流行、1925年の『パリ万国装飾美術博覧会』で花開いた様式)の意匠です。
地方に残る貴重なアール・デコ様式の意匠のひとつ。

2階には昭和3年10月6日〜8日、昭和天皇を迎えての「陸軍特別大演習」(弘前歩兵隊三十一聯隊、盛岡騎兵第三旅団などの連合演習が現・花巻市の日居城野で実施)の際、「大本営・御座所」として利用された貴賓室(現・応接室)も配されているほか、貴賓室の隣にある和室付属室・日本間(現・特別室)は御座所として天皇陛下のご宿泊所となった場所です。
岩手県公会堂が大本営となり、天皇は大元帥として演習を統監し、閑院宮載仁親王(かんいんのみや ことひとしんのう=元帥)、田中義一総理大臣、白川義則陸軍大臣、岡田啓介海軍大臣などの要人が集結しました。

内丸通り(現・中央通り)に面した正面入口の左側には県会議事堂、北側には第一公会堂(現・大ホール)があり、大ホールは今も講演会や演奏会に活用されています。

パリのリッツホテルで修業し、ベルリン大使館付料理長を務めた細川睦夫氏が創業した、「レストラン公会堂多賀」も営業し、国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造(にとべいなぞう)も故郷・盛岡に帰郷時に利用していました(惜しまれながら平成29年に廃業、現在は21号室となっています)。

岩手県公会堂西側の庭園内には、「平民宰相」として知られる原敬の銅像も立っています。
原敬没後30周年を記念して昭和26年11月、岩手民主政治普及会、岩手県議会、盛岡市などにより設置されたもの。
高知県桂浜の坂本竜馬像と同じ、本山白雲(もとやまはくうん/昭和27年2月18日没)最晩年の作品です。

岩手県公会堂
名称 岩手県公会堂/いわてけんこうかいどう
所在地 岩手県盛岡市内丸11-2
関連HP 岩手県公会堂公式ホームページ
電車・バスで JR盛岡駅から徒歩20分
ドライブで 東北自動車道盛岡ICから約6km
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 岩手県公会堂 TEL:019-623-4681/FAX:019-623-4682
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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