箱根湿生花園

箱根湿生花園

神奈川県足柄下郡箱根町仙石原にある箱根火山・カルデラ底の自然の地形を活かした植物園が箱根湿生花園。年間を通し低温、多湿な仙石原(せんごくはら)は湿原植物の宝庫。湿原地域のほとんどは湿原保護のために立入禁止ですが、箱根湿生花園には遊歩道があり、湿原植物を観察できます。

日本で最初にできた湿生植物園

広さ17haほどの仙石原湿原は、神奈川県に残る唯一の湿原で、昭和9年に箱根仙石原湿原植物群落として国の天然記念物にも指定されています。

箱根湿生花園は、昭和51年、箱根仙石原湿原植物群落の隣接地に日本で最初にできた湿生植物園。
園内には、低地の植物から高山植物へといった具合に、順序良く観賞できるように植生が整備され、珍しい外国の草花も含めて約1700種の植物が季節ごとに楽しむことができます。
仙石原湿原の湿原自体は立入禁止ですが、箱根湿生花園の園内には2haの植生復元区を設け、そこに湿原を復元し、かつてはノハナショウブが一面に咲き誇ったという仙石原湿原の雰囲気を伝えているのです。

3月にマンサクやザゼンソウが春を告げ、ミズバショウ、カタクリが一面に咲く4月上旬、ニッコウキスゲやヒオウギアヤメが群れをなす6月、ノハナショウブの青紫が美しい6月下旬など、春~夏が見頃。
ゴールデンウィークはちょうど季節の変わり目で、夏の花が咲きかける時もあれば、春の花の終わりの場合も。

冬季(12月~3月中旬)は休園。
貸し出し用車椅子、公式ガイドブック「箱根湿生花園の花」(有料)も用意。

人々の営みが仙石原湿原を守ってきた!

仙石原山焼き
3月に行なわれる『仙石原山焼き』

金時山など箱根外輪山に囲まれた箱根カルデラ(箱根火山の山体崩壊で生じた凹部)。
カルデラ内には仙石原湖と呼ばれる巨大な湖がありましたが、2万2000年前に中央火口丘(神山、駒ヶ岳、二子山)のひとつ、神山の噴火により湖が2つに分断されました。
さらに中央火口丘・神山の3000年前の火山活動による山体崩壊で、南側では芦ノ湖が今の形に、仙石原では川が堰き止められて湿原が生まれたのです。

仙石原の名の由来は、源頼朝が「この地を拓けば、千石ほどの米が獲れよう」と語ったことに由来するのだとか。
湿原と乾燥化が進んだ場所はススキ原となったため、牧場も営まれていました。
昭和9年に箱根仙石原湿原植物群落として国の天然記念物に指定された時代には、地元の人たちがヨシやススキを刈り取り、茅葺き屋根(かやぶきやね)に使ったり(仙石原には茅葺き屋根の農家が多数ありました)、家畜の餌にして、野焼きや草刈り作業が盛んに行なわれ、それが自然に、湿原の維持管理に繋がっていたのです。

その後、こうしたヨシ、ススキの利用がなくなると、わずか数十年でノハナショウブの群落、湿性植物群落は徐々に減少し、ハンノキの森に変化するという植生遷移が見られるようになりました。
つまりは、人々の営みが湿原を守っていたということに。

箱根町と箱根湿生花園では平成元年から野焼きを再開していますが、3月の仙石原山焼きだけではススキやヨシが繁茂するだけなので、平成21年から、箱根仙石原湿原植物群落を後世に伝える目的で、6月上旬に箱根町文化財ボランティア、仙石原湿原保全ボランティア、箱根町や、箱根湿生花園職員らの手作業によるヨシ刈りも行なわれています(箱根町文化財ボランティアは、春に箱根町教育委員会生涯学習課が募集しています)。

箱根湿生花園
名称 箱根湿生花園/はこねしっせいかえん
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原817
関連HP 箱根湿生花園公式ホームページ
電車・バスで 箱根登山鉄道箱根湯本駅から箱根登山バス桃源台行きで約30分、仙石原案内所前下車、徒歩8分
ドライブで 東名高速道路御殿場ICから約12km
駐車場 100台/無料
問い合わせ 箱根湿生花園 TEL:0460-84-7293/FAX:0460-84-6871
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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