お猿畠の大切岸

お猿畠の大切岸

神奈川県逗子市、法性寺、名越切通まんだら堂やぐら群近くにある鎌倉らしい不思議な場所がお猿畠の大切岸(おさるばたけのおおきりぎし)。切岸(きりぎし)とは、山城などで敵の侵入を防ぐ人工的な崖のことですが、発掘調査の結果、石材を切り出した跡だと判明しています。

軍事的な防御壁か、単なる石切り場の跡か!?

お猿畠の大切岸

往時は鎌倉幕府が三浦一族からの攻撃に備えるために築いた防御用の壁だと推測されたことから大切岸と呼ばれてきましたが、平成14年の調査で、現在の崖は大規模な石切り場の跡だと判明しました(発掘された基部の石切跡は埋め戻されています)。
宝永4年(1707年)の富士山宝永大噴火による火山灰が積もっていることから、それ以前の切り出しであることもわかっています。

14世紀〜15世紀頃、鎌倉では建物基礎や井戸枠などに切石が盛んに用いられているため、ここから建設資材となる石材を搬出したとも推測できますが、定かでありません。
石材の切り出した跡だということは判明していますが、それ以前にも城塞都市・鎌倉の防御用の壁があった可能性もあり、さらには石を切り出した跡もあえて城壁のような崖を残したとも考えられるのです。

800m以上も続く砂岩の崖に沿って、散策路が整備されているので、じっくりと見学を。

お猿畠の地名は、文応元年(1260年)、『立正安国論』を著した日蓮が、その革命的な内容から他宗派から迫害を受け、松葉ヶ谷の草庵を焼き討ちされた際(松葉ヶ谷法難)、3匹の白猿(山王権現の化身)が現れて日蓮を導き、岩窟に導いたという伝承に由来しています。
岩窟があったとされる地が、現在の日蓮宗の寺・猿畠山法性寺(えんばくさんほっしょうじ)で、お猿畠の大切岸の展望広場から法性寺の山王権現を眺めることができます。

時間が許せば近くにある名越切通、法性寺、まんだら堂やぐら群の見学を。

画像協力/逗子市

お猿畠の大切岸
お猿畠の大切岸
名称 お猿畠の大切岸/おさるばたけのおおきりぎし
所在地 神奈川県逗子市久木9-8-1
関連HP 逗子市公式ホームページ
電車・バスで 鎌倉駅東口から京急バス緑ヶ丘入口行きで8分、終点下車、徒歩8分
問い合わせ 逗子市経済観光課 TEL:046-873-1111
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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