ハンマーヘッドクレーン(新港ふ頭)

ハンマーヘッドクレーン(新港ふ頭)

神奈川県横浜市中区のみなとみらい21新港地区、新港ふ頭の突端部分を整備したハンマーヘッドパーク (HAMMERHEAD PARK)にある巨大なクレーン(大型港湾荷役機械)がハンマーヘッドクレーン。大正3年に建造されたクレーンは、経済産業省の近代化産業遺産、土木学会選奨土木遺産に認定されています。

大正2年製作、イギリス製の巨大クレーンが現存

大正3年、新港ふ頭の西側の突堤に、日本で最初の湾港荷役専用クレーンが整備されました。
それが、ハンマーヘッドクレーン。
イギリス製の50tジャイアント・カンチレバークレーン(50t定置式電機起重機/製作:COWANS SHELDON)で、国内には同時期に5基輸入され、横浜・新港ふ頭のほか、世界文化遺産登録された長崎造船所や呉海軍工廠、佐世保海軍工廠、横須賀海軍工廠に設置されています。
そのうち、新港ふ頭、三菱重工業長崎造船所(長崎県長崎市)と旧海軍工廠を引き継ぐ佐世保重工業佐世保造船所(長崎県佐世保市)の合計3基のみ現存(長崎と佐世保は国の登録有形文化財)。
世界にも17基しか存在しない貴重な産業遺産になっています。

クレーンは50トン級で高さ30.7m、アーム長43.0m、旋回半径18.0m。
金づちに似た形状から「ハンマーヘッド」と呼ばれて親しまれてきました。

横浜港の貿易量の増大とともに、新港ふ頭にイギリスから輸入したクレーンを設置したもの。
これにより、貨物船が岸壁に着岸し、クレーンを使って積み下ろすことで作業効率が大幅に向上したのです。
関東大震災は、横浜港周辺に大きな被害をもたらし、ふ頭は大半が水没しましたが、ハンマーヘッドクレーンは倒壊することなく存続し、戦後の高度経済成長にも活躍をしたのです。

横浜港もコンテナ化が進み、港湾機能の中心が本牧や大黒ふ頭に移動、その役割を終えました。
平成13年の廃止後、国の管理となり(国土交通省関東地方整備局)、基礎補強工事、再塗装が行なわれ、新港ふ頭客船ターミナル・横浜ハンマーヘッドの整備とともにハンマーヘッドパークのメイン施設として保存。
みなとみらい21(MM21)・新港地区の新しいシンボルとして余生を送っています。

「『貿易立国の原点』横浜港発展の歩みを物語る近代化産業遺産群」として、新港ふ頭、旧臨港線港一号橋梁、旧臨港線港二号橋梁、旧臨港線港三号橋梁、新港橋梁、赤レンガ倉庫(以上、すべて「新港ふ頭の遺産」)などとともに経済産業省の近代化産業遺産に認定。

ハンマーヘッドクレーン(新港ふ頭)
横浜港税関陸上設備復旧図(昭和6年)
ハンマーヘッドクレーン(新港ふ頭)
名称 ハンマーヘッドクレーン(新港ふ頭)/はんまーへっどくれーん(しんこうふとう)
所在地 神奈川県横浜市中区新港2-14-1
関連HP 横浜観光コンベンションビューロー公式ホームページ
電車・バスで みなとみらい線馬車道駅から徒歩10分 、みなとみらい駅から徒歩12分。JR桜木町駅から徒歩15分
ドライブで 首都高速横羽線みなとみらいランプから約1.5km
駐車場 横浜ハンマーヘッド駐車場(350台/有料)
問い合わせ 横浜市港湾局建設保全部建設第一課 TEL:045-671-7302
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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