39高知県
プレスマンユニオン編集部
旧立川番所書院
愛媛県、徳島県の県境に接する高知県大豊町(おおとよちょう)。旧立川番所書院は、土佐藩の参勤交代における土佐街道(土佐北街道)途中、土佐最後の宿所で、国境警備の拠点となった立川番所(関所)の跡。藩主の宿泊所でもあり、御殿と呼ばれた立川番所の番所屋敷が現存し、国の重要文化財に指定されています。
土佐藩主、参勤交代時の最初の宿がここ
土佐国府から笹ヶ峰を越え伊予国大岡駅(四国中央市)通じる官道は、『日本後記』に延暦16年(797年)に開通とあり、立川番所の建つ立川下名(たじかわしもみょう)には、律令時代に丹治川(たじがわ)駅があったと推測されています。
6代藩主・山内豊隆(やまうちとよたか)の時代の享保3年(1718年)、古代の官道に沿うように新道が開削され、16代・山内豊範(やまうちとよのり)の文久3年(1863年)まで参勤交代に使われていました。
6代藩主・山内豊隆は、谷秦山(たにじんざん=後継者問題で蟄居)、深尾重方(ふかおしげかた=藩主の重篤な状況を知らなかったことで蟄居)など、先代からの重臣たちを次々と粛清した「暗君」とされていますが、宝永の改革と呼ばれる藩政改革を行ない、さらに参勤交代を海路から、陸路の布師田~領石~穴内~本山~川口を経て立川番所から笹ヶ峰を越え馬立~川之江に改めています。
これは、海路だと室戸岬沖、紀伊水道での日和待ちで日数が計算できないことから。
陸路で高知城下から江戸まで30日も費やす長旅で、最初の夜がこの立川番所でした。
現存する旧立川番所書院は、寛政年間(1789年~1800年)に立川下名庄屋番人・川井惣左右衛門勝忠(かわいそうざえもんかつただ)が周辺の木材を使って建築したもの。
重厚な寄棟造り(よせむねづくり)茅葺屋根(かやぶきやね)の内部には、玄関、大広間、次の間、上段の間などがあり、今も昔のままに保存され、国の重要文化財に指定されています。
番所の裏手には庄屋で、番所役人だった川井家の墓所も残されています(川井惣左右衛門勝忠は川井家10代)。
立川番所の上流500mには坂本龍馬らが水戸浪士・住谷寅之助(すみやとらのすけ)と会見した「坂本龍馬・住谷寅之助会見の地」、荷宿跡(にやどあと)があります。
また、土佐北街道・笹ヶ峰越えの旧街道がハイキングコースとして整備され、文化庁の「歴史の道百選」にも選定されています。
旧立川番所書院 |
名称 |
旧立川番所書院/きゅうたじかわばんしょしょいん |
所在地 |
高知県長岡郡大豊町立川下名28 |
関連HP |
大豊町観光開発協会公式ホームページ |
|
ドライブで |
高知自動車道大豊ICから約12.5km |
駐車場 |
20台/無料 |
問い合わせ |
大豊町教育委員会 TEL:0887-72-0450 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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