京都府京都市伏見区にある商売繁盛を祈願する全国3万数千にものぼる稲荷社の総本宮で、日本三大稲荷の筆頭。社伝によれば、渡来系・秦氏族の秦伊侶具(はたのいろぐ)によって和銅4年(711年)創建という古社。稲荷山の麓に本殿があり、稲荷山全体が神域となっています。
商売繁盛で名高い全国稲荷社の総本宮
秦氏の「はた」は古代朝鮮語で海の意で、5世紀中頃に新羅から渡来した氏族集団。
山城国葛野郡(かどのぐん)太秦(うずまさ=現・京都市右京区太秦)あたりを本拠に、高度な技術力と豊富な経済力を背景に、桂川に灌漑用の大堰を作って嵯峨野一帯を開墾、さらには先進の養蚕、機織などを伝えています。
『山城国風土記逸文伊奈利社条』には、秦伊侶具が餅を的にして矢を射ったところ、その餅が白鳥になって山の峰に飛び去り、 山に稲が生えたので、「伊禰奈利生」(いねなりおいき)、それが転じて稲荷となったと記されています。
豊かな土地で稲成(いねなり)だったのかもしれません。
天長4年(827年)には東寺の鎮守となり、神仏習合の中世には稲荷信仰が広まり、室町時代の永享10年(1438年)、社殿を山上から山麓へと遷しています。
東寺の鎮守となったのも、創建した空海が稲を背負った神に東寺の守護をしてもらうよう願い出たという逸話が残されていて、平安時代の始めにはすでに稲を背負った(荷なった)神、稲荷神というイメージが生まれていたことがわかります。
祭神は下社に祀られる宇迦之御魂大神 (うかのみたまのおおかみ)、中社の佐田彦大神 (さたひこのおおかみ)、上社の大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)、下社摂社の田中大神(たなかのおおかみ)、中社摂社の四大神 (しのおおかみ)の5柱で、それらの総称が稲荷大神。
稲荷は稲成が語源で、当初は五穀豊穣を司る神だったと推測されますが、その後、商売繁昌・産業興隆・家内安全・交通安全・芸能上達の守護神としても信仰されるようになっています。
明応年間(1492年〜1501年)再建の本殿は国の重要文化財。
五間社流造り・檜皮葺きの建築で、稲荷造りと呼ばれる独特の建物です。
本殿の東側から奥社奉拝所(通称、奥の院)へ向かう道が「千本鳥居」。
「稲荷塗」に塗られた朱い鳥居がトンネルのようにつらなる参道は壮観で、外国人旅行者にも人気のスポットになっています。
日本三大縁切稲荷とも
初詣の人出は250万人前後で、全国TOP5に入るほどの人気ぶり。
2月初午の日に行われる『初午大祭』はご鎮座の日として多くの人々が参拝します。
社頭で参拝者に授与される「しるしの杉」は商売繁盛・家内安全の御符(しるし)。
4月20日にもっとも近い日曜日(神幸祭)から5月3日(還幸祭)にかけて行われる『稲荷祭』は平安朝から行なわれる同社の伝統的な祭典で、神輿5基が巡行します。
伏見稲荷への祈りと大願成就の感謝を込めて鳥居を奉納する習わしは江戸時代に始まり、全国の稲荷社へと普及しました。
社殿背後の稲荷山の最高峰・一ノ峰(233m)を一巡する参道もあるので時間があればチャレンジを。
栃木県足利市の門田稲荷神社、東京都板橋区の榎木稲荷(縁切榎)とともに日本三大縁切稲荷にも数えられています。
伏見稲荷大社 3つのチェックポイント
秦氏をルーツとし1300年の歴史を有する古社
全国4万の稲荷社の総本社で商売繁盛に御利益大!
赤い鳥居の連続する姿がインスタ映えすると大人気
伏見稲荷大社 | |
名称 | 伏見稲荷大社/ふしみいなりたいしゃ Fushimi Inari Shrine/Fushimi Inari Taisha |
所在地 | 京都府京都市伏見区深草藪之内町68 |
関連HP | 伏見稲荷大社公式ホームページ |
電車・バスで | JR奈良線稲荷駅(京都駅から5分)から徒歩3分で楼門、京阪本線伏見稲荷駅から徒歩6分で楼門。またはJR京都駅から市バス5系統(本数が少ないので注意)で11分、稲荷大社前下車、徒歩8分で楼門 |
ドライブで | 名神高速道路京都南ICから約3.9km。または、阪神高速8号京都線鴨川西出口から約2.9km |
駐車場 | 参集殿前普通車専用駐車場(200台/無料) |
問い合わせ | 伏見稲荷大社 TEL:075-641-7331/FAX:075-642-2153 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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