浄瑠璃寺

浄瑠璃寺

天平11年(738年)、行基開山と伝えられる古刹が京都府木津川市の浄瑠璃寺(じょうるりじ)。永承2年(1047年)、義明上人が、薬師如来を本尊に小さな堂を建立。保元2年(1157年)に現在の本堂(九体阿弥陀堂)が建てられています。寺名は薬師如来のいるという東方浄土「東方浄瑠璃世界」に由来しています。

西方極楽浄土の阿弥陀如来と、東方浄瑠璃界の薬師如来

浄瑠璃寺
浄土式庭園

別名「九体寺」ともいわれるのは、本堂に9体の阿弥陀如来を安置していることから。
境内にそびえ建つ三重塔は、治承2年(1178年)、京都の一条大宮から移築したもの。

本堂、三重塔、阿弥陀如来像九体、四天王像四体はすべて藤原期のもので国宝に指定されています。

平安時代の末法思想と、浄土思想を背景に、境内は極楽浄土を具現化した浄土式庭園になっています。
薬師如来は東方浄瑠璃世界に住み、現世の苦しみを除く仏、そして阿弥陀如来は西方極楽浄土の教主ということで、薬師如来を東、阿弥陀如来を西に安置しています(浄土式庭園は国の特別名勝・史跡)。

三重塔のある東岸、つまり此岸(しがん)が現世、池を挟んだ西岸(彼岸/ひがん)が苦しみや悩みから解放され、阿弥陀仏が法を説いている極楽浄土。

浄瑠璃寺・三重塔

まずは、東側の三重塔に行き阿弥陀如来を祀る本堂を池越しに拝む

浄瑠璃寺
九体阿弥陀如来を祀る彼岸(西岸)に配された本堂

まずは、東側の三重塔に行き、薬師如来に苦悩の救済を願い、次に三重の塔の前で振り返り、池越しにある本堂の阿弥陀如来に来迎を願うのが正しい参拝法ということに。

庭園鑑賞という観点からいえば、三重塔で薬師如来の目線で池越しに本堂を眺め、本堂からは阿弥陀如来の目線で三重塔を眺めるという、リバーシブルの構造になっていることに注目を。
そして池の両岸に配されたふたつの灯籠が此岸と彼岸とを結んでいるのです。

そんなわけで、この浄瑠璃寺は、浄土庭園、九体阿弥陀堂などの伽藍と秘仏が平安時代そのままにすべて揃って残されている京都でも実に貴重な寺となっているのです。

明治の廃仏毀釈の荒波まで、奈良・興福寺一乗院の末寺でしたが、真言律宗に転じ、現在は奈良・西大寺の末寺になっています。

本尊は阿弥陀如来像九体より60年前に作られた薬師如来像(秘仏)。
秘仏開扉は、薬師如来像(三重塔に安置、藤原時代、国の重文)は、毎月8日、正月3ヶ日、春分・秋分の日(好天に限る)。
厨子に入った吉祥天女像(鎌倉時代、国の重文)は、1月1日〜15日、3月21日〜5月20日、10月1日〜11月30日。
大日如来(潅頂堂に安置、鎌倉時代)は、1月8日〜10日のみ。
ちなみに国宝の四天王像四体のうち堂内には持国天、増長天が安置されていますが多門天は京都国立博物館、広目天は東京国立博物館に収蔵されているのでご注意を。

浄瑠璃寺 3つのチェックポイント

奈良・興福寺の別所として仏教文化が花開いた地
藤原期の堂宇と仏像、浄土式庭園が現存
秘仏の回扉も見逃せない!

浄瑠璃寺
名称 浄瑠璃寺/じょうるりじ
Joruriji Temple
所在地 京都府木津川市加茂町西小札場40
関連HP 木津川市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR関西本線(大和路線)加茂駅東口から奈良交通バス加茂山の家行き、奈良駅行きで15分、浄瑠璃寺前下車すぐ
ドライブで 京奈和自動車道木津ICから約8.5km
駐車場 なし/周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 浄瑠璃寺 TEL:0774-76-2390
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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