京都府京都市東山区にある時宗遊行派の寺、長楽寺(ちょうらくじ)。延暦24年(805年)、桓武天皇(かんむてんのう)の勅命で、伝教大師が創建と伝えられ、「洛中随一絶景の霊地」として名高い名刹。天台宗・比叡山延暦寺の別院として創建されましたが、室町時代に時宗に改宗されています。
壇ノ浦合戦後、建礼門院が出家した寺
『今昔物語』、長楽寺で修行した西行法師の『山家集』、そして『平家物語』などの古典にも登場する名刹。
祇園近くにありながら、境内は静寂で、新緑、紅葉の名所にもなっています(毎年11月下旬に『紅葉祭りと扇祈願会』が行なわれています)。
鎮護国家を祈願する勅願所として歴代天皇の帰依が深かったこともあり、元暦2年(1185年)には平清盛の娘・建礼門院徳子(安徳天皇の生母)はこの寺で出家し、大原の寂光院に隠棲しています(『平家物語』灌頂巻)。
庭園は室町時代、相阿弥(そうあみ)が8代将軍・足利義政(あしかが よしまさ)の命で銀閣寺の庭を作る際、試作的に作庭した庭と伝えられています。
明暦3年に鋳造された梵鐘は、「長楽寺の鐘」として親しまれていましたが、戦時下に供出され、現在の鐘は昭和31年の鋳造(除夜の鐘は、一般参詣者が撞くことができます)。
病魔退散祈願済みの久寿扇などの授与品も豊富。
境内には建礼門院御塔(御髪塔)、最後の将軍・徳川慶喜の弟・明訓(あきくに)の墓、幕末の文人・頼山陽(らいさんよう)の墓があり、建礼門院御塔は、長楽寺山腹の八丁台と称される景勝の地に立っていましたが、明治元年に現在地に移転。
少し離れた八坂神社前に宿坊「遊行庵」もあり、朝食(朝がゆ)付のプランが用意されています(客室は全和室でバス・トイレ付、朝食のちりめん山椒は自家製、長楽寺本堂にて早朝の勤行に参加可能)。
長楽寺の西に広がる円山公園(まるやまこうえん)はもともと長楽寺、祇園社(八坂神社)、安養寺、双林寺、弁天堂の境内。
明治初年の廃仏毀釈の一環、上知令によって土地が政府に没収され公園になったもの。
円山公園にある料亭、飲食店などは、社寺領時代に境内にあった店の名残りです(日本庭園は小川治兵衛が大正元年に作庭)。
長楽寺 | |
名称 | 長楽寺/ちょうらくじ |
所在地 | 京都府京都市東山区円山町626 |
関連HP | 長楽寺公式ホームページ |
電車・バスで | 地下鉄東西線東山駅から徒歩18分 |
ドライブで | 名神高速道路京都南ICから約9km。または、阪神高速8号京都線鴨川東出口から約3.5kmで京都市円山公園駐車場 |
駐車場 | 京都市円山公園駐車場(134台/有料) |
問い合わせ | 長楽寺 TEL:075-561-0589/FAX:075-561-8550 |
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