京都府京都市東山区にある臨済宗建仁寺派大本山・建仁寺(けんにんじ)の塔頭(たっちゅう)、禅居庵(ぜんきょあん)。本尊は聖観音菩薩ですがが、秘仏の摩利支天(まりしてん=仏教の守護神)を祀り、日本三大摩利支天の寺として有名です。
摩利支天堂は、信長の父・織田信秀の寄進
秘仏の摩利支天像は、鎌倉時代、福州連江県の出身の臨済宗の僧・清拙正澄(せいせつしょうちょう)が、来日前の元で自刻したと伝わります。
清拙正澄は、嘉暦元年(1326年)、北条高時の招きで来日する際、袈裟に包んで摩利支天像を持参したと伝えられています。
後醍醐天皇の勅命で京都の建仁寺、南禅寺に住任し、暦応2年(1339年)、禅居庵で遷化(せんげ)しています。
禅居庵の摩利支天堂(京都府の有形文化財)に、寺の鎮守として安置されていますが、堂を回りながら願をかけると必ず叶うのだとか。
初めに回る数を決め、その数の竹の棒を手に取り、摩利支天堂を時計回りに周回。
一周回るたびに木の棒を箱に戻していく仕組み。
現存する摩利支天堂は、天文16年(1547年)、織田信秀(信長の父)の再建と伝えられています。
天文16年(1547年)といえば、織田信秀が岡崎城を攻略し、松平広忠(徳川家康の父)降伏させ、広忠の嫡男・竹千代(後の徳川家康)を人質にした頃(織田信長は13歳、家康4歳)。
朝廷にも献金していた織田信秀ですが、摩利支天に武運長久を祈ったのかもしれません(摩利支天堂には戦国時代のドラマが秘められています)。
境内には狛犬(こまいぬ)ならぬ狛猪(こまいのしし)、欄間の彫刻の猪、手水鉢(ちょうずばち)の猪の水口、開運絵馬など猪が数多く見かけますが、猪は摩利支天の眷族(けんぞく=従者)だから。
摩利支天堂に安置される秘仏・摩利支天像は三面六臂(さんめんろっぴ=3つの顔と6つの腕)、身には甲冑を着け、7頭の猪に乗っていることから(猪が神使とされるため)。
仏教を守護する天部の神・摩利支天は、サンスクリット語で陽炎(かげろう)を意味するMarici(マリーチ)の音を漢字に写したもの。
威光、陽炎(かげろう)を神格化した古代インド密教の女神マーリーチがルーツで、陽炎のように目には見えませんが、進路の障害になる災難や厄を除くことができるとされ、戦国時代には戦勝の神(武神)として、鎧(よろい)に潜ませて出陣するなど信仰されていました。
縁日は12日ごとにやってくる亥の日のうち、月の最初の亥の日で、摩利支尊天堂で、建仁寺一山の僧が大般若経全六百巻転読祈祷する『大般若法会』が行なわれます。
その後、「坐禅と法話の会」があり、自由に参加できます。
また、毎年10月20日は『ご開帳大般若祈祷法会』で、秘仏・摩利支天の年に一度のご開帳日となっています(堂内での参詣が可能)。
禅居庵 | |
名称 | 禅居庵/ぜんきょあん |
所在地 | 京都府京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町146 |
関連HP | 禅居庵公式ホームページ |
電車・バスで | 京阪電鉄祇園四条駅から徒歩7分。阪急電鉄河原町駅から徒歩10分 |
ドライブで | 名神高速道路京都東ICから約7.5km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 禅居庵 TEL:075-561-5556/FAX:075-541-6455 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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