桂取水堰堤(舞鶴旧鎮守府水道施設)

桂取水堰堤(舞鶴旧鎮守府水道施設)

京都府舞鶴市を流れる与保呂川にある貯水施設(ダム)が、桂取水堰堤(舞鶴旧鎮守府水道施設)。舞鶴鎮守府の水事情を解決するため、明治34年に築かれた当時としては貴重なコンクリートを使った堰堤で、国の重要文化財に指定されています。

舞鶴軍港に入港する艦船に給水するために築かれたダム

舞鶴鎮守府は、明治26年の石炭貯蔵庫を手始めに、日清戦争の賠償金を利用して建設が進み、明治34年10月1日、舞鶴鎮守府が開庁、初代司令長官には海軍中将・東郷平八郎が任命されています。

桂取水堰堤は、海軍の艦艇補給用水の確保を目的に、北吸浄水場施設とともに開庁と同時の明治34年完成。
軍建築としても最古の本格的水道施設で、水門銘板には舞鶴出身の海軍次官・伊藤雋吉(いとうしゅんきち)の揮毫 (きごう)による「清徳霊長」の文字が刻まれています。
当時はまだまだ貴重だったコンクリートを使った初期の重力式コンクリート造り堰堤です。

桂取水堰堤(桂貯水池)から6kmほど離れた北吸浄水場へと自然勾配で送水され、濾過(ろか)した後に2基の配水地に貯水され、舞鶴軍港に入港する艦艇や各施設に送水されていました。

堤高12.4m、堤長43.6mで、上流側左岸石垣、取水隧道などを含めて国の重要文化財に。
現在も現役の水道ダムで、舞鶴市民の生活用水として、きれいな水を市民に送り続けています。

ちなみに岸谷貯水池(土堰堤)は、海軍が日露戦争によって給水量が増大するのに伴い築造した水道用のダムで、明治38年6月に築造、大正10年6月、軍港拡張の機運が高まり、水源池を増強するために改造したものです。

日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 ~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成資産になっているほか、桂貯水池として経済産業省の近代化産業遺産(建造物の近代化に貢献した赤煉瓦生産などの歩みを物語る近代化産業遺産群「舞鶴市の赤煉瓦製造関連遺産(旧神崎煉瓦)と建造物」)にも認定されています。

桂取水堰堤(舞鶴旧鎮守府水道施設)
名称 桂取水堰堤(舞鶴旧鎮守府水道施設)/かつらしゅすいえんてい(まいづるきゅうちんじゅふすいどうしせつ)
所在地 京都府舞鶴市与保呂桂1751
関連HP 舞鶴市公式ホームページ
ドライブで 舞鶴若狭自動車道舞鶴東ICから約4km
問い合わせ 舞鶴市広報広聴課 TEL:0773-66-1041
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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