宮城県石巻市、牡鹿半島の東、太平洋に浮かぶ金華山の東端、鮑荒崎に建つのが金華山灯台(きんかさんとうだい)。「灯台の父」と称されるブラントン設計の灯台で、明治9年11月1日に初点灯した歴史ある灯台。全国に23基しかないAランクの保存灯台、そして日本の灯台50選に選定、国の登録有形文化財に指定されています。
ブラントン設計の貴重な灯台が聖なる島に現存

北海道や千島列島への国内航路はもちろんですが、金華山沖は北米航路の要衝でもあり、シアトルやサンフランシスコを出航する北米航路の船は、この金華山灯台を目指して日本への進路を取りました。
逆に、北米航路の船にとっては、日本本土に最後に別れを告げる灯台でもあったのです。
北海道・納沙布岬灯台(根室市)とともに北米航路の重要な地ということで、リチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計で建てられた灯台が、金華山灯台。
鮑荒崎の斜面を切り開いて台地を築き、灯台を建設するという難工事、しかも物資は船で運び入れる必要がありました。
明治7年に着工、明治9年5月に竣工、明治9年11月1日に初点灯ですが、ブラントンは明治9年3月に燈台寮を解雇され、帰国しているので、完成を見ずして帰国していることに。
ブラントンが設計した灯台の中では難工事ということもあって、最後に点灯した灯台です(最後の設計は山口県の角島灯台で、明治6年3月1日に初点灯)。
灯塔は花崗岩の布積み(ぬのづみ)。
上部に青銅製灯室、ドーム型鋼製灯籠を設置し、半円形の付属舎が付いています。
太平洋戦争ではアメリカ軍の標的となり、昭和20年、潜水艦からの艦砲射撃を受け灯台長が殉職、さらに空襲で被害を受けましたが、昭和21年に電化して復旧。
海保職員が5人ずつ、10日交代で常駐していましたが、平成17年4月1日に無人化されています。
有人時代には、沢水を活用して入浴したのだとか。
港から金華山表歩道で徒歩2時間20分
塔高12.82m、平均水面から灯火までは54.64m、光達距離は20海里(37km)で、毎20秒に赤1閃光、 白1閃光。
石造の灯台としては、東北地方で最古。
金華山には灯台職員と金華山黄金山神社の神職以外は住んでおらず、「野生の猿や鹿が遊びに来るだけだった」とか。
灯台としては尻屋埼灯台(青森県東通村)とともに、平成29年に国の登録有形文化財に指定されています。
「安全な船舶航行に貢献し我が国の海運業等を支えた燈台等建設の歩みを物語る近代化産業遺産群」として経済産業省の近代化産業遺産にも認定。
金華山は島全体が黄金山神社の神域。
金華山灯台に到達するには、鮎川港から船(シードリーム金華山汽船、金華山観光クルーズなど/事前予約が必要)を利用。
金華山の桟橋から金華山灯台へは、金華山表歩道で徒歩2時間20分。
東日本大震災の影響で金華山表歩道の道が少し荒れた部分もあるので、灯台まで歩く場合には事前に確認が賢明です。
| 金華山灯台 | |
| 名称 | 金華山灯台/きんかさんとうだい |
| 所在地 | 宮城県石巻市鮎川浜金華山 |
| 関連HP | 燈光会公式ホームページ |
| 電車・バスで | JR石巻駅から宮城交通バス鮎川港行きで1時間24分、終点下車。鮎川港から金華山航路、または、海上タクシー利用、金華山港から徒歩1時間30分 |
| ドライブで | 三陸自動車道石巻河南ICから約38kmで鮎川港。鮎川港から金華山航路、または、海上タクシー利用、金華山港から徒歩1時間30分 |
| 駐車場 | 鮎川港駐車場を利用 |
| 問い合わせ | 石巻観光協会牡鹿事務所 TEL:0225-45-3456 金華山航路事業協同組合 TEL:0225-44-1850 |











