宮崎県都城市、山之口町に伝わる人形浄瑠璃の保存・展示・定期公演を目的に平成4年に開館したのが山之口麓文弥節人形浄瑠璃資料館人形の館。文弥節人形浄瑠璃(ぶんやぶしにんぎょうじょうるり)は延宝年間(1673年~1681年)に大坂の岡本文弥(おかもとぶんや)が創始し、全国に広まったもの。
「山之口の文弥人形」は国の重要無形民俗文化財
人形浄瑠璃とは、人形を操りながら、三味線と語りで物語などを演じる芝居。
文弥節は、義太夫節以前の古浄瑠璃の一つで、感傷的な節付けで「泣き節」、「愁い節」とも呼ばれています。
江戸時代に薩摩藩の郷士が(山之口は、薩摩藩領の北端に位置し、藩境警備に郷士が駐屯していました)、参勤交代で大坂などに出た際に、これを知り、習い覚えて地元に伝えたものと推測されています。
文弥節は、18世紀後半以降は、次第に義太夫節に押されて衰退していき、地方で伝承されているのは実に貴重です。
(1)太夫の語り調子が文弥調であり、(2)語りの間合いに三味線が入る、(3)人形は文弥節人形初期の「頭差込式」で一人遣い、(4)舞台の形式は「高幕式」、浄瑠璃上演の幕間に演じられる「間狂言」が残っているのが山之口麓文弥節人形浄瑠璃の特徴です。
1体の人形をひとりで操る人形浄瑠璃は全国でも珍しく、山之口町麓地区を含めて全国で4ヶ所(鹿児島県薩摩川内市=東郷文弥節人形浄瑠璃、石川県白山市=東二口文弥人形浄瑠璃、新潟県佐渡市=佐渡の人形芝居)しか現存していないという貴重な人形芝居で、国の重要無形民俗文化財に指定(指定名称は「山之口の文弥人形」)。
伝承されている演目としては、「出世景清」(しゆつせかげきよ)、「門出八嶋」(かどでやしま)の2曲ですが、ほかに「間狂言」(まきようげん)と称される「太郎の御前迎」(たろうのごぜむけ)、「東嶽猪狩」(ひがしだけのししがり)や、「娘手踊」(むすめておどり)といった間の物も演じられています。
館内では、人形(江戸時代から明治初期に製作された27体の人形が現存)や台本の展示のほか、専用舞台があり、年4回(3月、6月、9月、11月)、定期公演が行なわれています。
山之口麓文弥節人形浄瑠璃資料館人形の館 | |
名称 | 山之口麓文弥節人形浄瑠璃資料館人形の館/やまのくちふもとぶんやぶしにんぎょうじょうるりしりょうかんにんぎょうのやかた |
所在地 | 宮崎県都城市山之口町山之口2921-1 |
関連HP | 都城市公式ホームページ |
電車・バスで | JR山之口駅から徒歩30分、またはタクシーで5分 |
ドライブで | 宮崎自動車道都城ICから約9.8㎞ |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 山之口麓文弥節人形浄瑠璃資料館人形の館 TEL:0986-57-5295 |
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