薬師寺

薬師寺は680(天武天皇9)年、藤原京に天武天皇が菟野讃良皇后(うののさららひめみこ=のちの持統天皇)の病気平癒のため発願し創建された法相宗の寺で、平城京遷都とともに奈良に移されたもの。日本に仏教が伝えられた時代のままの伽藍(薬師寺式伽藍)が残された、歴史的にも大変貴重な名刹です。

吉祥天女画像や薬師三尊像など見どころ豊富

薬師寺の南門
中門と西塔
中門から眺めた金堂

往時の堂宇のほとんどは災害や戦火で焼失していますが、創建当時唯一の遺構として、730(天平2)年築の東塔(国宝)が白鳳時代の様式を今に伝えてそびえています。

中央に金堂、その前に中門、金堂背後に講堂を配し、金堂の手前東西に塔を置く「薬師寺式伽藍配置」に次々と白鳳伽藍が再建され、朱塗りの欄干、金色に輝く鴟尾(しび)などから、当時の趣を感じとることができます。

麻布に描かれた独立画像としては、日本最古の彩色画である『吉祥天女画像』(きちじょうてんにょがぞう/国宝)や金堂に安置される本尊の薬師三尊像(国宝)などの寺宝も数多いのが特長。
毎年1月1日~3日まで吉祥天女画像を、1月4日~15日までは平成の吉祥天を修正会の本尊として金堂薬師三尊像の宝前に祀っています。

寺宝の仏様を拝むのが目的の場合は、博物館などに貸し出されていないことを薬師寺のHPで確認の上、拝観を。
玄奘三蔵院伽藍は、公開期間が限られるので、こちらも要チェックです。

写経道場は、8:30〜17:00の間、常時、写経ができる(お写経納経供養料が必要)道場で、毎月8日(薬師縁日)には、写経会と管主法話、第3日曜には写経会と月例まほろば塾(有料)が開かれています。

薬師寺は「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録。

薬師寺
名称薬師寺/やくしじ
Yakushiji Temple
所在地奈良県奈良市西ノ京町457
関連HP薬師寺公式ホームページ
電車・バスで近鉄橿原線西ノ京駅から徒歩2分。またはJR奈良駅から奈良交通バス六条山行きで18分、薬師寺下車すぐ
ドライブで西名阪自動車道郡山ICから約7.5km。第二阪奈道路宝来出口から約5km
駐車場薬師寺駐車場(100台/有料)
問い合わせ薬師寺 TEL:0742-33-6001/FAX:0742-33-6004
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
薬師寺「南大門付近からの白鳳伽藍全景」

【新・南都八景】薬師寺「南大門付近からの白鳳伽藍全景」

奈良市の世界文化遺産「古都奈良の文化財」は令和5年で登録から25年の節目を迎えましたが、奈良市観光協会では、12月1日、SNS映えする「新・南都八景」を発表。そのうちのひとつが、薬師寺「南大門付近からの白鳳伽藍全景」。東西に塔を配した「薬師

南都七大寺

南都七大寺とは!?

南都とは、奈良時代に都があった現在の奈良市のこと。和銅3年(710年)の平城京遷都後、南都(奈良)とその周辺にあった朝廷の保護を受けた東大寺、西大寺、法隆寺、薬師寺、大安寺、元興寺、興福寺の7ヶ寺が南都七大寺(なんとしちだいじ)。奈良時代、

薬師寺・西塔

薬師寺西塔は、1528(享禄元)年の兵火により焼失、礎石のみが残されていたものを昭和56年に453年ぶりに再建。国宝の東塔とほぼ同じ形で、白鳳様式を用いて建てられています。よく見ると東塔は裳階(もこし=軒下壁面に付いた庇状構造物)部分が白壁

薬師寺・東塔

薬師寺・東塔は、730(天平2)年に造営されたと伝わる三重塔。高さ33.6mで各層に裳階(もこし)を付けているため六重に見えるのが特徴。薬師寺は、数度の災害と1528(享禄元)年の兵火により多くの堂宇は焼失していますが、東塔は当時の建造物で

薬師寺・東院堂

薬師寺の東院堂は養老年間に吉備内親王(きびないしんのう)が平城京に遷都した女帝・元明天皇(げんめいてんのう)の冥福を祈り建立したもの。境内東側、東回廊の外に位置しています。973(天禄4)年の火災で焼失後、1285(弘安8)年に再建された建

薬師寺・回廊

薬師寺の金堂、大講堂、西塔、東塔を取り囲むのが東西の回廊。薬師寺式と呼ばれる伽藍配置は白鳳時代そのままなのです。回廊のエンタシス風の列柱はヘレニズム文化の影響を残したものともいわれてきましたが、現在では否定的な意見が多いのも事実。昭和43年

薬師寺・大講堂

平成15年3月に四百数十年ぶりに奈良、薬師寺に復興したのが大講堂。正面41m、奥行き20m、高さ17mという巨大な建物で、薬師寺の中では最大の建造物。大講堂が金堂より大きいのは古代伽藍の通則で、講堂にはたくさんの学僧が参集して経典を講讃した

薬師寺・金堂

世界遺産「古都奈良の文化財」に登録される薬師寺の伽藍のうち、昭和51年に再建された白鳳伽藍の一部が金堂。金堂は1528(享禄元)年、土地の豪族の戦火で焼失。豊臣秀吉が再建を計画しましたが叶わず、復興は長年の悲願だったもの。国宝・薬師三尊像を

薬師寺・玄奘三蔵院伽藍

薬師寺の白鳳伽藍の北側、写経のできる写経道場、本坊事務所のさらに北側にあるのが玄奘三蔵院伽藍(げんじょうさんぞういんがらん)。玄奘三蔵は、『西遊記』で有名な三蔵法師のこと。玄奘三蔵の究めた瑜伽唯識(ゆがゆいしき)の教えを伝える法相宗(ほっそ

薬師寺・休ヶ岡八幡宮

薬師寺の南大門を出たすぐ南に鎮座するのが休ヶ岡八幡宮で、薬師寺を守護する鎮守社。寛平年間(889年~898年)、薬師寺別当栄紹が宇佐八幡宮から分霊を勧請して創建されたという古社で、今なお神仏混淆時代の名残があります。祀られる三神像は国宝。現

よく読まれている記事

こちらもどうぞ