薬師寺・東塔

薬師寺・東塔は、730(天平2)年に造営されたと伝わる三重塔。高さ33.6mで各層に裳階(もこし)を付けているため六重に見えるのが特徴。薬師寺は、数度の災害と1528(享禄元)年の兵火により多くの堂宇は焼失していますが、東塔は当時の建造物で現存する唯一のもので国宝です。

天平時代建築の塔がそのまま残り国宝に!

薬師寺・東塔は、一見すると三重塔には見えませんが(六重の塔と勘違いする場合が多い)、屋根と屋根との間に入っているのは裳階(もこし)と呼ばれるもの。

白鳳時代の偉容を現代に伝える見事な塔で、裳階を施した金堂や塔のたたずまいの美しさを「龍宮造り」と呼んで都の人々は目を見張ったのだとか。

塔は本来、お釈迦様のお墓(梵語の「ストゥーパー」/ स्तूप, stūpa)が中国語に音訳されて「卒塔婆(そとうば)」となり、それが日本に伝わって「塔」(仏塔)となったもの。
塔の基部には仏舎利(釈迦の遺骨)を納めるのが習わしです。

薬師寺東塔は平成21年から平成32年6月頃まで解体修理が行なわれ、覆屋に覆われています。

薬師寺は「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録。

「凍れる音楽」と評したのは黒田鷗心
明治時代のアメリカの美術研究家アーネスト・フェノロサ(Ernest Francisco Fenollosa)は、この東塔を見上げて「凍れる音楽」と絶賛したともいわれていますが、その説は都市伝説で、根拠や出典はありません。
旅行書やブログで安易に書き写されて、さも真実のように喧伝されていますが、フェノロサが語ったとか、記したという記録は見つかっていないのです。
「凍れる音楽」と評したのは、実は美術評論家の黒田鷗心(くろだ ほうしん)。
「建築は〈凍れる音楽〉だと云われてゐるが、其の最も好い例を此の三重塔に於いて見る事が出来る」(黒田鷗心著『奈良と京都』趣味普及会/大正5年)としっかりと記述しています。
薬師寺・東塔
名称 薬師寺・東塔/やくしじ・とうとう
Yakushi-ji Temple,Toto(East Pagoda)
所在地 奈良県奈良市西ノ京町457
関連HP 薬師寺公式ホームページ
電車・バスで 近鉄橿原線西ノ京駅から徒歩2分。またはJR奈良駅から奈良交通バス六条山行きで18分、薬師寺下車すぐ
ドライブで 西名阪自動車道郡山ICから約7.5km。第二阪奈道路宝来出口から約5km
駐車場 薬師寺駐車場(100台/有料)
問い合わせ 薬師寺 TEL:0742-33-6001/FAX:0742-33-6004
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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