西大寺

西大寺

天平神護元年(765年)、称徳天皇の勅願により藤原仲麻呂の反乱の鎮圧を目的に、鎮護国家と平和祈願のため7尺の金銅四天王を造立したのがはじまりという奈良の古刹、西大寺。創建当時は、東の東大寺に対する西の大寺として繁栄。寺域は48haにも及び、110もの堂宇が建ち並ぶ南都七大寺の一つに数えられる官大寺(国立の巨寺)でした。

東の東大寺に対する西の大寺が西大寺

西大寺
東塔跡、本堂が直線状に位置する南門
西大寺
塔頭の清浄院の横に位置する東門

奈良時代には薬師金堂、弥勒金堂、四王堂、十一面堂、東西の五重塔などが建ち並ぶ壮大な伽藍を誇り、東大寺と並び奈良の仏教だけでなく、官大寺として政治にも影響を及ぼしていました。

平安遷都以降(平安遷都には奈良の仏教勢力との隔絶という狙いもありました)、度重なる火災、鎌倉時代の地頭の侵奪などによって衰退し、暦仁元年(1238年)に密・律兼修の根本道場として叡尊(えいそん)が中興、伽藍が整備され、現在は真言律宗の総本山となっています。

現存する堂宇は文亀2年(1502年)の兵火による全焼後、江戸時代以降の再建。

本堂は文化5年(1808年)頃に再建されたもの。
奈良市屈指の巨大な近世仏堂で、国の重要文化財に指定。
東塔跡の北側に中世に建築された光明真言堂の後身です。
本堂に安置される本尊の釈迦如来立像は、建長元年(1249年)の善派の仏師・善慶(ぜんけい)の作で、国の重要文化財。
京都・清凉寺にある三国伝来の釈迦像の模刻です。

国宝や重要文化財など多くの寺宝を収蔵、安置

西大寺
東塔跡と南門
西大寺
称徳天皇誓願の四天王像を祀る四王堂

本堂前にある基壇は創建時の東塔跡。
かつてはここに巨大な四角五重塔がそびえていましたが文亀2年(1502年)の兵火で焼失しています。

秘仏・愛染明王坐像(国の重要文化財)を祀る愛染堂は、明和4年(1767年)、京・近衛家の御殿を移築したもの。
寝殿造の公家邸宅建築を仏堂としたユニークな建物です。

創建期の由緒を伝える唯一の堂が四王堂で、延宝2年(1674年)の再建。
四王堂本尊の十一面観音像は藤原時代の作で国の重要文化財。
平安時代密教絵画の貴重な絵画である絹本著色十二天像(12幅/国宝)は、奈良国立博物館に6幅、東京と京都の国立博物館に3幅ずつ寄託されています。

このほか、金銅透彫舎利塔、金銅宝塔などの国宝、『絹本著色吉野曼荼羅図』、塔本四仏坐像などの重要文化財と、歴史を有する名刹だけに寺宝も数多く、「聚宝館」に寺宝の一部が展示されています。
『絹本著色吉野曼荼羅図』は、日本最古の山岳霊場であり修験道の根本道場としても名高い吉野山の神々を描く垂迹画。

西大寺の堂宇で、拝観できるのは、本堂・愛染堂・四王堂(以上の3堂は年中無休)と聚宝館(開館期間限定)です。

境内にある石落神社の小祠は、仁治3年(1242年)、西大寺中興の叡尊が三輪から少彦名命(すくなひこなのみこと)を勧請したと伝えられる古社。
石落神が授与した秘薬という由来によって製作された漢方薬が、日本最古の民間売薬とされる「豊心丹」(ほうしんたん)です。
室町時代に中国の処方集『太医局方』(たいいきょくほう)をもとに、有用性を高めた『和剤局方』(わざいきょくほう)が完成し、西大寺の「豊心丹」(下痢、頭痛、吐血などその他万病に効く薬)や、東大寺正倉院の「奇応丸」(きおうがん=子供の疳の虫に効く薬)などが売り出されました。

西大寺境内は国の史跡ですが、往時の広大な寺域のうち、おもな伽藍が建っていたのは境内の北側で、現在は住宅地になっています。

西大寺
西大寺の中心堂舎、本堂
西大寺
弘法大師石仏を祀る大師堂は昭和35年の創建

西大寺のおもな年中行事

西大寺

1月15日〜2月4日/秘仏愛染明王御開扉・聚宝館開館=愛染堂で秘仏・愛染明王が特別に拝観でき、さらに宝物館「聚宝館」も拝観できます。
1月18日/初観音供(四王堂)=毎月18日は観音様の縁日ですが、1月の縁日は初観音。で初観音供。
1月24日/初大師供(大師堂)=毎月24日は弘法大師の縁日ですが、1月の縁日は初大師。
2月3日/節分星祭祈願会=例年14:00〜と15:00〜、愛染堂で星供が行なわれた後、景品券入り豆袋が巻かれます。
3月最初の午の日/初午厄除祈祷会=四王堂9:00~終日にわたって祈願会が行なわれ、午後、稚児行列も。
4月1日~5月31日/聚宝館開館=宝物館「聚宝館」が拝観できるので、参詣の狙い目です。
7月23日/地蔵会式=地蔵菩薩の縁日で、奥の院地蔵堂の御本尊御前で法要が行なわれます。
8月16日/施餓鬼会=法寿院で三界万霊の供養が行なわれます。
8月25日/興正菩薩忌=興正菩薩の年一度の忌日法要。午後から参拝者に講話を行なわれ、夕方から奥の院の興正菩薩五輪塔に数千の灯明を灯しての法要を実施。
10月3日~5日/光明真言土砂加持大法会=光明真言会は、叡尊上人が創始した最重要法会。本堂などで行なわれます。
10月25日~11月15日/秘仏愛染明王御開扉・聚宝館開館=愛染堂で秘仏・愛染明王が特別に拝観でき、さらに宝物館「聚宝館」も拝観できます。
12月31日/除夜会=除夜の鐘は23:45頃から希望者全員が撞くことができます。
※例年の行事を掲載しています。拝観、参加にあたっては事前に西大寺にご確認ください。

西大寺
名称 西大寺/さいだいじ
所在地 奈良県奈良市西大寺芝町1-1-5
関連HP 西大寺公式ホームページ
電車・バスで 近鉄京都線・奈良線大和西大寺駅から徒歩3分
ドライブで 第二阪奈道路宝来ICから約2km
駐車場 100台/有料
問い合わせ 西大寺 TEL:0742-45-4700/FAX:0742-45-4720
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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