和歌山県との県境に位置する奈良県吉野郡下北山村を流れる北山川の上流、前鬼川(ぜんきかわ)に架かる滝が、不動七重の滝。7段に分かれ落差は120mで「日本の滝百選」に選定。下北山村は大部分が吉野熊野国立公園のエリア内で、前鬼川は北山川となり瀞峡を経て熊野灘に流れています。
7段・落差120mの滝は、「日本の滝百選」に選定
国道169号の池原貯水池にかかる前鬼橋から林道に入って6.3km、展望所に車を停めれば、不動七重の滝を眺めることができます。
近畿の屋根・大峯山系の釈迦ヶ岳(1799.6m)を水源とする水量豊かな前鬼川の流れが水しぶきをあげながら滝壺に落ちていく姿は、豪壮で迫力満点。
かつては前鬼の大滝と呼ばれ、牛抱坂(うしだきざか)から遠望するだけでしたが、大正時代に森林開発で木材搬出の木馬道(きんまみち)が滝下まで通じ、ようやく世に出たという秘境の滝です。
展望所から眺めるだけでなく、急坂と鉄梯子が連続する遊歩道で滝に近づくことも可能。
滝のさらに上流側、黒谷の奥にある前鬼の郷(前鬼宿坊)は大日岳へと登る大峯奥駈道の第29番の靡(なびき=行場/全75ヶ所の靡があります)「前鬼山」(ぜんきさん)で、宿坊も営業。
大峯山で蔵王権現を感得した役行者(えんのぎょうじゃ)に従事した前鬼(義賢)は、生駒山(いこまさん)の暗峠(くらがりとうげ)で悪行を尽くしていましたが、役行者に調伏され、妻の後鬼、5人の子供の五鬼助(ごきじょ)、五鬼継(ごきつぐ)、五鬼上(ごきじょう)、五鬼童(ごきどう)、五鬼熊(ごきくま)とこの地に住んだことが地名の由来と伝えられています。
大峯奥駈道の修行拠点は、金剛界が山上ヶ岳、胎蔵界が前鬼され、往時には山岳修験の一大拠点として栄えたのです。
前鬼地区周辺に靡(行場)が集中するのは、前鬼から日帰りで行ができるからで、28番三重の滝(みかさねのたき)〜40番釈迦ヶ岳までが一帯にあります。
前鬼の郷へは滝からさらに車で10分走った乗り入れ終点地(村道ゲート)から林道を2km、徒歩40分。
明治の半ばまで子孫による5つの宿坊がありましたが、現在、61代目当主・五鬼助義之さんが五鬼助ゆかりの宿坊「小仲坊」(おなかぼう/要予約)を営なみ、「聖地の中の聖地」を守り続けています。
奈良県内にある日本の滝百選選定の滝は、不動七重の滝のほか、双門の滝(天川村)、笹の滝(十津川村)、中の滝(上北山村)の4瀑で、関西では兵庫県と並ぶ名瀑の県になっています。
不動七重の滝 | |
名称 | 不動七重の滝/ふどうななえのたき |
所在地 | 奈良県吉野郡下北山村前鬼 |
関連HP | 下北山村公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄吉野線大和上市駅から奈良交通バス熊野方面行きで2時間、前鬼口下車、徒歩1時間30分 |
ドライブで | 西名阪自動車道郡山ICから約96km |
駐車場 | 3台/無料 |
問い合わせ | 下北山村 TEL:07468-6-0016 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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