佐渡市小木半島(おぎはんとう)の南縁、小木海岸にある景勝地が矢島・経島。この箱庭のような美しさをもつ入江を周遊しながら楽しめるのが、「矢島体験交流館」の観光たらい舟。本来たらい舟は、狭い入江や岩礁でも小回りが利くため、アワビやワカメ漁などに使われていた乗り物。波穏やかな入江で観光用に乗船体験できるようにしたものです。
樽(桶)を半分に切ることから地元では「ハンギリ」の名も!
入江の奥にある矢島体験交流館で受け付けており、たらい舟の乗船体験のほか、磯釣り、イカ一夜干し、そば打ちなども楽しめます。
たらい舟は、本来は明治初期に樽(桶)を半分に切り改造したもの。
そのため地元では「ハンギリ」(半切り)とも呼ばれています。
明治初め頃、牛馬の餌を入れる飼い葉桶が海から流れ、それを利用したとする説、能登地方から廻船によって伝えられたとする説、サカナ桶を改良して海に浮かべ使用したとする説などが残っているが定かでありません。
洗濯に使うたらいではなく、味噌樽などを半切りにしたものを浮かべた舟と考えるのが正解。
つまりは、飼い葉桶、サカナ桶、味噌樽などを半切りにして、舟にして、アワビ、サザエ、ワカメなどを磯ねぎ漁で使用するのがたらい舟。
海女1人が乗り込んで箱眼鏡で水中を覗き込みながら魚介などを採取するのです。
たらい舟から地震で生まれた海岸美を堪能
佐渡小木海岸は、享和2年11月15日(1802年12月9日)に発生したM6.5から7.0と推定される佐渡小木地震で2mほど隆起して(一部は沈降)現在の地形が生まれました(地震の周期は5000年以上と推定されています)。
この地震で小木では破澗と呼ばれる小さなV字谷(溺谷)が生まれ、海苔の産地となり、磯漁の適地となったのです。
この佐渡小木海岸は、日本の地質百選にも選定されています。
現在も漁業者の高齢化と後継者不足により、数は少なくなりましたが佐渡ではたらい舟を使った磯ねぎ漁が行なわれ、味噌樽や風呂桶を製作した桶樽職人により、杉板を組み合わせてたらい舟が製造されています。
たらい舟の製造(小木のたらい舟製作技術)は、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
ただし、現在、観光用に使用されるたらい舟はFRP(繊維強化樹脂)加工されています。
たらい舟は円形だけに操舵方法がちょっと複雑。
前進したいときは、まず櫂を持つ手を右にひねり、櫂のハの腹を回転させる力で右に水をかく。
次に櫂はたらい舟の前面にハの腹が平行になるように戻します。
こうして櫂が8の字を描くように巧みに動かして前進や後退させるという仕組み。
観光たらい舟(矢島体験交流館) | |
名称 | 観光たらい舟(矢島体験交流館)/かんこうたらいぶね(やじまたいけんこうりゅうかん) |
所在地 | 新潟県佐渡市小木365-1 |
関連HP | 佐渡市公式観光情報サイト |
ドライブで | 両津港(佐渡汽船旅客ターミナル)から約42km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 矢島体験交流館 TEL:0259-86-2992 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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