「雪と織物と信濃川」がテーマの十日町市にある市営のミュージアム。注目は、新潟県で唯一という国宝の火焔型土器を収蔵展示していること。この土器は、笹山遺跡(十日町市にある縄文時代と中世の遺跡)から出土した深鉢形土器で、土器を含む928点の出土品で構成されている国宝の正式名称は、「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」。
市営の博物館としては、全国でもトップレベルの充実の内容
信濃川右岸の河岸段丘にある笹山遺跡から出土した、火焔型土器。
全体の形姿が燃え上がる炎を連想させることが名の由来となっています。
火焔型土器はオコゲが付着したものが出土しているため、煮炊きに使われたことは確実なのですが、その芸術性などから非日常的な祭祀などにも使われたと推測されています。
火焔型土器、そしてその仲間といえる王冠型(おうかんがた)土器は、「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」の中に、それぞれ14点と3点含まれています。
それらが、ズラリと常設展示されているのですから古代史に少しでも興味があればここを目的に、旅する価値も十分にあります。
常設展示では、「縄文ムラのくらし」、「縄文人の生と死と」のコーナーで、信濃川中流域(現在の長岡市、十日町市、津南町一帯)で、大規模な集落が営まれ、「日本最古の芸術」ともいえる火焔型土器が造られたのか、縄文人の生活や死生観を解説しながら、豊かな文化と芸術性に迫ります。
中世の妻有や、越後縮、雪国の民具なども紹介
さらに、「大井田城と伊達八幡館」では、南北朝時代の越後南朝(吉野山を皇居とした南朝を支持した勢力)の本拠地、さらに伊達八幡館は戦国時代の豪族(武士)の館跡で、中世の妻有(つまり)地方の歴史を紹介しています。
さらに「越後縮の紡織用具及び関連資料(重要有形民俗文化財)」、「十日町の積雪期用具(重要有形民俗文化財)」のコーナーでは、日本随一の豪雪地帯で生まれた麻織物の「越後縮」(えちごちぢみ)の工程や、江戸時代に塩沢出身の随筆家・鈴木牧之(すずきぼくし)が『北越雪譜』(ほくえつせっぷ)に著し描いたわら製品、かんじきなどを積雪期の民具を展示し、雪国の暮らしを詳細に解説しています。
さらに「越後アンギン」(植物繊維を細い縄や紐にし、スダレや俵を編むのと同じ技法で作った編み布)や、幕末に始まった十日町の絹織物の歴史を、丁寧に紹介。
ミュージアムショップでは、オリジナルのグッズも販売しているのでお見逃しなく。
併設して、奈良時代の竪穴式住居や縄文時代の住居跡、墓などを復元した「遺跡ひろば」、十日町の植生を再現する郷土植物園があるので、見学時間には余裕が必要です。
十日町市博物館 | |
名称 | 十日町市博物館/とおかまちしはくぶつかん |
所在地 | 新潟県十日町市西本町1-382-1 |
関連HP | 十日町市博物館公式ホームページ |
電車・バスで | JR飯山線・北越急行ほくほく線十日町駅から徒歩10分 |
ドライブで | 関越自動車道六日町ICから約17.7km。越後川口ICから約19km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 十日町市博物館 TEL:025-757-5531/FAX:025-757-6998 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
取材協力/十日町市博物館、新潟県観光協会、雪国観光圏
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