勝尾寺

727(神亀4)年、双子の善仲(ぜんちゅう)と善算(ぜんさん)両上人が草庵を構えたのが創始と伝わる箕面(みのお)の古刹で西国三十三所第23番札所が勝尾寺(かつおうじ/真言宗の寺)。775(宝亀6)年、彌勒寺と号して開山。平安時代以降、山岳信仰の拠点として栄え、天皇など貴人の参詣も多かった名刹です。

新緑、桜、あじさい、紅葉と四季美しい箕面の名刹

本尊の十一面千手観音は780(宝亀11)年7月18日〜8月18日の間に妙観が彫ったもの。
妙観は、観音の化身と信じられた名工で、全国の観音様を祀る寺で、観音縁日が18日と定められたのもこの寺に伝わる妙観の故事に由来します。
「よき細工は、少しにぶき刀をつかうといふ。妙観が刀はいたくたたず・・・」(吉田兼好『徒然草』)と天下に知れ渡る名工だったことがわかります。

その後、6代座主・行巡上人が清和天皇(在位858年〜876年)の病気平癒を祈り、効験を得たことから、清和天皇から自分(王)に勝った寺の意で「勝王寺」の寺号を賜っています。
『日本三代実録』にも、清和天皇の勝尾寺参詣の記録が残されています。

寺では「王に勝つ」という意味の寺号は畏れ多いことから「王」を「尾」に控えて勝尾寺と称し、中世には、源氏や足利氏など武将に勝運祈願の寺として信仰を集めました。

平安時代以降、勝運信仰の寺としても信仰される

勝運信仰の寺としての歴史もこの「王に勝つ」という故事に始まります。
縁起の良い「勝ちダルマ」が授与され、おみくじもダルマみくじとなっていますが、境内は至るところ勝運成就したダルマだらけ。

1184(元暦元)年、治承・寿永の乱(源平合戦=有名な「一ノ谷の戦い」)で伽藍を焼失するも、1195(建久6)年、源頼朝の命により、梶原景時、熊谷直実らが再建。
現存する薬師堂はこのときの再建のもの。
本堂、仁王門は豊臣秀頼の再建です。

また境内の厄ばらい三宝荒神社は、日本最初の荒神社とされています。

箕面大滝で知られる明治の森箕面国定公園内にあり、春は桜、秋は紅葉で有名。
例年、勝尾寺の紅葉は10月中旬に始まり11月中旬〜11月下旬が見頃。
11月中の土・日曜、祝日には紅葉ライトアップも行なわれています。
お休み処「花の茶屋」では喫茶。軽食も可能です。

平安初期の作である薬師三尊像(国の重要文化財)は数十年に一度、御開帳される秘仏。
1月には1ヶ月間、新年勝運祈願、厄ばらい祈願が行なわれ、1月28日は、『厄ばらい荒神大祭』(大般若経転読法要、柴燈大護摩祈願)。
花の寺としても有名で、4月『桜まつり』、5月『シャクナゲまつり』、6月『紫陽花まつり』を開催。

『観音霊験記 西国巡礼』 二十三番摂津国勝尾寺 百済国王后

二代目広重・三代目豊国(国貞)が描いた札所本尊の由来を紹介した錦絵シリーズの『観音霊験記 西国巡礼』。
1858(安政5)年に刊行が始まった、当時の観音巡礼のガイドブックです。

国王に寵愛された世にも名高い美人の百済国王后。若い年齢であるのに白髪になったため、様々な薬を試しても効果が出ません。
ある夜、「日本国摂津国勝尾寺の観世音は霊験あらたか」という夢告を受け、日本、勝尾寺の方角を見て一心不乱に祈ったところ、真っ白だった頭が瑠璃のような艶に戻ったのだとか。
お礼として、閼伽器、金鼓、金鐘の三種を周文徳、楊仁紹という両人の商人に渡して日本の勝尾寺に送り、それが宝物となっているというお話。

『観音霊験記』 西国巡礼二十三番摂津国勝尾寺 百済国王后

『摂津名所図会』に描かれた 勝尾寺

西国三十三所霊場間の距離・時間

22番・補陀洛山総持寺(大阪府茨木市総持寺1-6-1) — (14km/40分) — 23番・応頂山勝尾寺(大阪府箕面市勝尾寺) — (22km/50分) — 24番・紫雲山中山寺(兵庫県宝塚市中山寺2-11-1)
※距離と時間はルートや交通状況により変動するため、およその目安です

勝尾寺
名称 勝尾寺/かつおうじ
所在地 大阪府箕面市粟生間谷2914-1
関連HP 勝尾寺公式ホームページ
電車・バスで 阪急箕面線箕面駅・地下鉄御堂筋線千里中央駅からタクシーで15分。地下鉄御堂筋線千里中央駅から阪急バス54系統で45分、勝尾寺下車
ドライブで 名神高速道路茨木ICから約10.5km。吹田ICから約13.5km
駐車場 第1駐車場・屋外、第2駐車場・屋内(350台/有料)
問い合わせ 勝尾寺 TEL:072-721-7010
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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