大阪府東大阪市日下町にあった近畿日本鉄道・奈良線の駅の跡が、孔舎衛坂駅跡(くさえざかえきあと)。大正3年7月7日に日下駅として開業したのが孔舎衛坂駅で、昭和15年6月、孔舎衛坂駅に改称、昭和39年7月23日、新生駒トンネル開通の路線変更により廃止されています。
生駒隧道の大阪側に開設された駅は、新トンネル完成で廃駅に
大正3年4月18日に近畿日本鉄道の社運をかけ、生駒山を貫通した生駒隧道(旧生駒トンネル)の完成を受け、4月30日に上本町駅〜奈良駅間が開通、大阪側の入口に設けられたのが日下駅です。
日下村(大正元年に孔舎衙村に改称)の玄関駅というのが名の由来です。
大正4年には、駅近くに日下遊園地が開園、天女ヶ池(現・日下新池)の北側では日下温泉も営業していました。
阪電気軌道が大正15年、あやめ池遊園地を開業、昭和4年、ケーブルカーを開通させて生駒山上遊園地が誕生したことで客足が落ち、昭和12年頃に孔舎衙健康道場(結核の療養施設)に変わっています。
軍靴高鳴る昭和15年(明治5年、記紀の記載から、神武天皇が即位した年を皇紀元年と定め、昭和15年は皇紀2600年と計算されました/翌昭和16年12月8日に真珠湾攻撃、太平洋戦争に突入)、「紀元二千六百年記念事業」で、神武東征伝説に関係する地が文部省によって調査され、孔舎衛坂が近くにあることから、駅名は孔舎衛坂駅に改称されています。
『日本書紀』記載の神武東征伝説では、東征に抵抗した大和の指導者・長髄彦(ながすねひこ)と戦った地が孔舎衛坂だとされ、その坂の玄関駅ということから名称変更になったもの。
往時は、対向式ホーム2面2線を有し、奈良方面ホームの大阪側に駅舎が建っていました。
敗戦後、線路などは撤去されましたが、ホームが残され、東側には旧生駒トンネルの抗口を眺めることができます。
孔舎衛坂駅跡 | |
名称 | 孔舎衛坂駅跡/くさえざかえきあと |
所在地 | 大阪府東大阪市日下町 |
電車・バスで | 近鉄石切駅から徒歩5分 |
駐車場 | なし |
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