大分県宇佐市安心院町(あじむまち)、下市・折敷田地区の本町通り500mが安心院鏝絵通り(あじむこてえどおり)。左官職人が漆喰の壁に鏝(こて)を使って描いた絵が、鏝絵。安心院鏝絵通りには歴史ある鏝絵が8ヶ所、新しいものを含めれば23ヶ所もの鏝絵が商家・民家の壁面に残されています。
町歩きをしながら、鏝絵をじっくりと鑑賞
江戸時代には防火対策として漆喰(しっくい)仕上げが奨励されたため、北前船で栄えた北陸の廻船問屋など、商家や土蔵建築などを中心に各地で盛んに描かれています。
技術とともに芸術的センスにも磨きがかかり、伊豆の長八(入江長八=静岡県松崎町に「伊豆の長八美術館」があります)に代表されるように、左官の余技から漆喰芸術の域にまで昇華したのです。
この安心院(あじむ)では、腕のいい左官職人が多く、漆喰が手に入りやすい土地柄だったこと、そして高価な漆喰を使うことができる比較的裕福な家が多かったことなどにより、明治から昭和初期にかけて、鏝絵が流行ったのです。
なかでも下毛(しもげ)、折敷田(おしきだ)地区は、鏝絵が集中して描かれていたエリア。
戸袋や切妻面、土蔵の壁などに鏝絵が描かれています。
龍王地区、田ノ口地区など、安心院全体で登録されている鏝絵だけでも、50軒60ヶ所にもおよび、実際には100ヶ所近くあるともいわれています。
そんな鏝絵は、家主が左官職人に辟邪招福(へきじゃしょうふく=邪な心を退け福を呼ぶ)を願って依頼したもの、あるいは、左官が完成を祝って家主にプレゼントとして施したものがあります。
「本町鏝絵通り」と名付けられた約500mの通りでは、解説板を見ながら鏝絵めぐりが楽しめます。
折敷田では長野鐵蔵の「龍・虎・三階松」(重松邸=かつての庄屋/明治17年)、高吉の「竹に虎」(勝見邸/明治時代)、高吉の「唐獅子・七五桐」(賀来邸/明治時代)、下毛では長野鐵蔵 の「夷大黒・鯉の三番叟」(佐藤邸/明治28年)などが必見の鏝絵。
個人宅の作品が多いため、大声で騒がないなどマナーを守って見学を。
鏝絵通りから車で5分の場所には、奇観として知られる仙の岩、10分の場所には桂昌寺跡・地獄極楽もあるので、時間が許せばあわせて見学を。
安心院鏝絵通り | |
名称 | 安心院鏝絵通り/あじむこてえどおり |
所在地 | 大分県宇佐市安心院町 |
関連HP | 宇佐市観光協会安心院部会公式ホームページ |
電車・バスで | JR柳ヶ浦駅からタクシーで30分 |
ドライブで | 宇佐別府道路安心院ICから約2.2km |
駐車場 | 憩いの広場(10台)を利用 |
問い合わせ | 宇佐市観光協会安心院部会 TEL:0978-34-4839 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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