嵐山渓谷

嵐山渓谷

埼玉県比企郡嵐山町、荒川水系の一級河川・槻川(つきかわ)の渓谷が、嵐山渓谷(らんざんけいこく)。山間から平野部に、渓流が流れ出る雰囲気、そして美しい赤松林などが京都の嵐山(あらしやま)の景観に似ていることから付けられた名前で、埼玉県屈指の紅葉の名所。

本多静六が見出した武蔵国の嵐山

嵐山渓谷
紅葉の見頃は例年、11月下旬~12月上旬

秩父・長瀞の岩畳に似ていることから、新長瀞とも呼ばれていましたが、昭和3年秋、日本の「公園の父」と呼ばれる本多静六(ほんだせいろく)がこの地を訪れ、槻川橋(現在の橋よりも橋脚が低く、目線は低い位置からでした)から渓谷を眺め、「関東平野に稀(まれ)に見る景勝地」、「武蔵国の嵐山」と命名したのです。

本多静六は日比谷公園を手始めに、全国の公園を手掛けていますが、もともと林学者でもあったため、とくに周囲の景観と自然を活かした、自然公園的な発想があり、各地の公園化計画を立案、これが国立公園の制定にもつながっているのです。

「わしがあのけい谷の奥にある山寺の住職本多文教さんに案内されて始めてあの景勝を探つたのは山といはず、けい谷といはすべた一面に紅葉に彩られた秋だつた。百余年を経た亭々たる松林、幾十尺の岩頭にはひ上る真紅のつた、白砂を洗ふ清い水、岩間に雪を吹く激流実に京の嵐山の景そのまゝだったので思はずこれは武蔵嵐山だ!といつたのがそのまゝこの地名となつたもので兎も角関東平野にまれに見る景勝地たる事は疑ひありません」(本多静六/『朝日新聞』昭和5年8月15日記事)

紅葉する落葉樹、常緑樹としての赤松林の様子が京都の嵐山に似ているという林学者らしい視点で、武蔵嵐山と名付けたため、渓谷には料理旅館の「松月楼」も建ち、多くの探勝客が訪れるようになったのです。

本多静六は武蔵国埼玉郡河原井村(現埼玉県久喜市菖蒲町河原井)出身、つまりは地元の名士ということで、その影響力は大だったのです。

大正12年に開業した東武東上線・菅谷駅(菅谷村の玄関駅)も昭和10年には武蔵嵐山駅に改称。
昭和12年には与謝野晶子も訪れ、料理旅館「松月楼」に宿泊、「比企の渓」29首を詠いあげて、嵐山渓谷の全盛期を迎えています。

昭和50年代にマツクイムシの被害にあうまでは、嵐山渓谷周辺は赤松が多く、とくに塩山の東面は赤く染まって見えるため、地元では「赤っぽ山」と呼ばれていたほど。
実は本場・京都の嵐山(嵐山国有林)も、昭和初期には「松と桜の嵐山」と呼ばれたように、赤松と山桜がメインの植生だったのです。

料理旅館「松月楼」は戦後、神楽坂にあった割烹「一平荘」の支店「武蔵嵐山一平荘」として営業しましたが、昭和50年に閉店(昭和54年に焼失、跡地は嵐山町トラスト地として整備)。

現在では渓谷一体の景観保全のため、さいたま緑のトラスト基金と嵐山町で公有地化が図られ、槻川橋下には「嵐山渓谷バーベキュー場」が整備されています。
渓谷には、飛び石橋、塩沢冠水橋(増水時には水面下に隠れる沈下橋)もあるので、水の流れが穏やかなときには川遊びにも絶好。

ちなみに、嵐山渓谷のある菅谷村は、昭和30年に七郷村と菅谷村が合併して菅谷村となり、昭和42年に町制を施行して嵐山町に変わっています。

紅葉の見頃は例年、11月下旬~12月上旬。

嵐山渓谷
飛び石橋
嵐山渓谷
名称 嵐山渓谷/らんざんけいこく
所在地 埼玉県比企郡嵐山町鎌形
関連HP 嵐山町公式ホームページ
電車・バスで 東武鉄道武蔵嵐山駅から徒歩50分、または イーグルバスで10分、休養地入口下車、徒歩15分 ​
ドライブで 関越自動車道東松山IC、嵐山小川ICから約7km
駐車場 嵐山渓谷観光駐車場(30台/無料)、遠山口駐車場(10台/無料)、嵐山渓谷バーベキュー場駐車場(300台/有料)などを利用
問い合わせ 嵐山町企業支援課商工・観光担当 TEL:0493-62-0720/FAX:0493-62-0713
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
塩沢冠水橋

塩沢冠水橋

埼玉県比企郡嵐山町、荒川水系の一級河川・槻川(つきかわ)の渓谷が、嵐山渓谷(らんざんけいこく)。京の嵐山に似た景観ということで「公園の父」・本多静六が命名したもの。槻川橋の上流には飛び石橋、さらに上流に塩沢冠水橋があり、渓谷のハイライトにも

 

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