旧中川煉瓦製造所ホフマン窯

旧中川煉瓦製造所ホフマン窯

滋賀県近江八幡市船木町、八幡堀沿いにレンガ造りの高い煙突がそびえるのが、旧中川煉瓦製造所ホフマン窯(きゅうなかがわれんがせいぞうしょほふまんがま)。大正5年頃に建てられたイギリス積みのレンガ建築で、内部にはホフマン窯が現存しています。煙突の高さは30mもあり、ひときわ目立つ存在に。

八幡堀からも眺めるレンガ煙突の下には貴重なホフマン窯が!

燃料商の中川長九郎は明治16年、東湖組を組織し、滋賀県下では最初のレンガの焼成を開始。
明治40年頃に中川煉瓦製造所と改称し、ホフマン窯を設置。
ホフマン窯を設置したことで、大正時代には年間100万個のレンガを焼成していますが、関東大震災でレンガ建築の多くが倒壊したことで、その耐震性が問われ、当時はまだまだ高価だったコンクリートへと変わっていきます。

中川煉瓦製造所は、昭和9年に大普煉瓦と社名を変更、昭和42年までレンガを焼成しますが、廃業、現在は社会福祉法人 一善会・中川宗孟理事長が先祖から受け継ぐ私有地で、介護老人福祉施設「赤煉瓦の郷」に隣接するかたちに。
中川宗孟(なかがわむねたけ)さん(東京の明治大学へ進学し、証券会社に就職)が、「跡地を引き継いだ家族としてレンガで長くお世話になった地元へ恩返しできる利用法はないか」と妻、昌子さんと話し合い、平成11年にスタートさせたのが介護老人福祉施設「赤煉瓦の郷」なのです。

旧中川煉瓦製造所ホフマン窯は、長辺55cm、短辺14mの南北に長いレンガ建築で、内部に幅14m、奥行き55mのホフマン窯を備え、1000度の高温でレンガを焼成しました。
機械場、事務所、縄縫工場とともに国の登録有形文化財に指定されるほか、経済産業省の近代化産業遺産「建造物の近代化に貢献した赤煉瓦生産などの歩みを物語る近代化産業遺産群」にも認定。
建物は老朽化しているため内部は非公開ですが、外観のみ見学が可能。

八幡堀に隣接しているのは、焼成したレンガを八幡堀・琵琶湖舟運を利用して搬出、逆に資材を搬入していたから。
八幡堀めぐりの屋形船はここでUターンするので、乗船すれば八幡堀から煙突部分を見学できます。

ちなみにホフマン窯は、ドイツ人技師ホフマン(Friedrich Hoffman)が考案した焼成用の窯で、日本では、明治初期の火災焼失後の銀座レンガ街建設のために、明治5年、東京・小菅(こすげ)の小菅県庁跡地(現・東京拘置所の敷地)に窯3基を設置したのが始まりといわれています。
最盛期には全国に50基〜60基ほどありましたが、現存するのは、この旧中川煉瓦製造所(近江八幡市/国の登録有形文化財)のほか、旧下野煉化製造会社(栃木県下都賀郡野木町/国の重要文化財)、旧日本煉瓦製造(埼玉県深谷市/国の重要文化財)、神崎コンクリート株式会社旧煉瓦窯(旧京都竹村丹後製窯所煉瓦窯、舞鶴市/国の登録有形文化財)の4基だけです。

旧中川煉瓦製造所ホフマン窯
名称 旧中川煉瓦製造所ホフマン窯/きゅうなかがわれんがせいぞうしょほふまんがま
所在地 滋賀県近江八幡市船木町東澤田59-1
電車・バスで JR近江八幡駅から近江鉄道湖国バスで5分、新町下車、徒歩15分
ドライブで 名神高速道路竜王IC、蒲生スマートICから約12km
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 近江八幡駅北口観光案内所 TEL:0748-33-6061/FAX:0748-32-4125
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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