世界遺産知床 アイヌ語地名辞典

【麻布町】(あざぶちょう)

オ・タッニ・オ・マップ(o・tatni・oma・p)=川尻に・樺の木が・ある・もの(川)。羅臼町の字名です。以前は於尋麻布(おたずねまっぷ)という字が充てられていましたが、昭和36年にその地名が姿を消し、麻布町になりました。これは日本語地名に転訛した例ですが、貴重なアイヌ語地名はこうして失われていくのです。

【以久科】(いくしな)

エ・クシナ・ペツ(e・kusina・pet)=そこを・突き抜けている・川。

以久科原生花園

斜里町の海岸砂丘とその内側の湿原一帯に広がる原生花園。とくにエゾスカシユリの美しい群落として有名で、開花期には多くのカメラマンが訪れています。海岸の砂丘地帯にはエゾカワラナデシコ、ハマナスも咲き、砂丘や浜辺からは知床岬へと続く知床連山が一望

知床連山一望! 以久科原生花園に寄り道しよう

世界遺産知床のウトロ側の玄関口である斜里市街(釧網本線知床斜里駅)のすぐ東側に広がる原生花園が以久科原生花園(げんせいかえん)。女満別空港や網走市街から知床・ウトロへの移動途中に絶好の寄り道ポイントになっています。 北海道ではエゾカンゾウ(

【岩尾別】(いわおべつ)

イワウペツ(iwaw・pet)=硫黄の川。

岩尾別温泉露天風呂

羅臼岳のウトロ側登山口に位置する岩尾別温泉は「ホテル地の涯」の一軒宿。鹿の出没するダートの道を走ったまさに地の果てに建つ宿です(夕方〜夜間〜早朝の走行は鹿など野生生物の出没に注意が必要)。宿にも露天風呂はありますが、駐車場の脇から沢へと降り

秘境ムードたっぷりの「岩尾別温泉露天風呂」

羅臼岳のウトロ側登山口、岩尾別温泉に一軒宿の温泉ホテル「ホテル地の涯」があります。ウトロと知床五湖を結ぶ道道の途中、岩尾別川を渡ったところで看板に従って川沿いに山中へと入っていきます。実は一帯にはエゾシカはもちろん、ヒグマも出没。とくに朝夕

【宇登呂】(ウトロ)

ウトゥル・チ・クシ(uturu・chi・kus・i)=その間・我々(舟=chip)・通行する・ところ。ウトロの海岸線にはオロンコ岩、三角岩など多くの巨岩があります。今では切り通しとなった場所もありますが、往時には岩礁の岩と岩の間を抜けるようにして歩いたことが想像できます。「ウトルチクシ。名義、岩間を舟が越る義か」(松浦武四郎『知床日誌』)

ウトロ港の名物「ウトロ漁協婦人部食堂」

ウトロ漁港の一画に小さな店があります。ウトロ漁協組合の建物の一角を店舗とする「ウトロ漁協婦人部食堂」がそれ。その名の通り、店を切り盛りするのはウトロ漁協婦人部の女性たち。開業してから50年近くという歴史を誇ります。旬のホッケと鮭(定置網にか

【海別】(ウナベツ)

una・pet(ウナ・ペッ)=灰・川。古へ噴火セシトキ全川灰ヲ以テ埋メタリシガ今ハ灰ナシ=永田方正『北海道蝦夷語地名解』。unaはアイヌ語の灰ですが、気象庁選定の知床の活火山といえば硫黄山、羅臼岳、天頂山。これらの火山や摩周火山からの火山灰が積もっているということなのでしょう。

【オショコマナイ川】

オ(o=川尻・河口)・ショ(sho=滝/fall)・カ(Ka=上)・オマ(oma=にある)・ナイ(nay/river)=川尻の岩盤の上にある川。

【オシンコシン】

オ・シュンク・ウㇱ・イ(o・shunku・ush・i)=川尻に・蝦夷松が・群生している・もの(川)。オシンコシン崎という岬の尾根を国道はトンネルで抜けています。有名なオシンコシンの滝は、チャラセナイ(charse-nay)が正式名称。幕末の探検家・松浦武四郎は「ヲシユンクシ。番屋有,又夷人小屋も有」と記しています。

オシンコシンの滝

斜里とウトロを結ぶ国道334号沿いのチャラッセナイ川に懸かる滝。「日本の滝百選」にも選定。途中で二筋に分けれて落ちるため、「双美の滝」と呼ばれることも。白い帯状に流れる滝がもっとも美しいのは、知床連山の雪解け水が流れ落ちる、新緑の頃。滝下の

【尾岱沼】(おだいとう)

オタ・エトゥ(Ota・etu)=砂の岬。エトゥ(etu)は鼻を現す言葉。

【遠根別】(オンネベツ)

オン・ネペツ(onne・pet)=onneは年老いたという意味で、大きいことを表す言葉。petは川で大きな川の意。オンネは、onne-to(大きい・沼=オンネトー)という具合に使われ温根という漢字が充てられるケースも。

オンネベツ川鮭鱒観覧施設

斜里市街からウトロへ向かう途中、国道334号沿いにあるのがオンネベツ川鮭鱒観覧施設。知床連山からオホーツク海に流れ出すオンネベツ川は通年、本支流ともに保護水面になっていて釣りは厳禁。加えて5月〜8月には河口から500m以内の海岸線では釣りは

【カムイワッカ】

Kamuy・wakka=神の水。とはいえカムイワッカ湯の滝で有名なカムイワッカ川の水は硫黄分を含む毒水です。Kamuy(神)は聖なる神というより荒ぶる神と訳すのが妥当で、「荒ぶる神の水」といったイメージでしょうか。

カムイワッカ湯の滝

ワッカ川に架かる滝の2つの滝壺が湯船になった、天然の露天風呂。カムイワッカとは、アイヌ語でkamuy-wakka(神の・水)の意。夏には観光客が列をなす名所となっていますが、知床半島のウトロ側、知床大橋近くの湯の滝入口から徒歩で沢を登るアプ

人気ナンバーワンの「カムイワッカ湯の滝」へ

知床半島で人気一番の露天風呂といえばカムイワッカ湯の滝です。ところが、カムイワッカファン、知床ファンからは、「昔は楽しかった」の大合唱が聞こえてきます。というのも、落石の危険、滑落の事故多発などの理由により、現在、一の滝から上流へは立入禁止

【国後】(クナシリ)

クンネ・シリ(Kunne-sir)=黒い・島。英語的に言えばBlack Island。国後島には4つの活火山が聳え、玄武岩質の島は知床半島・羅臼から黒く見えるためその名がある。

望郷台・羅臼国後展望塔

眼下に羅臼港、眼前に根室海峡と国後島(くなしりとう)、振り返ると羅臼岳を望む絶景の地。望郷台の名で呼ばれた標高167mの展望地に、展望デッキ付の展望塔が整備されています。ここから眺める日の出のシーンや漁船団の出漁シーンは、感動的。国道335

望郷台(羅臼国後展望塔)根室海峡と羅臼岳を一望に

海岸沿いに国道が続き、漁師町も海にへばりつくように連なる世界遺産・知床羅臼町では海越し(根室海峡越し)に常に国後島(くなしりとう=北方領土)を眺めるのですが、展望台といえば「羅臼国後展望塔」の建つ望郷台と、羅臼灯台横のクジラの見える丘くらい

【斜里】(しゃり)

サル・イ(sar-i)=葦が生えているところ。サル(sar)は葦の茂る湿原を現しています。

【朱円】(しゅえん)

スマ・トゥカリ・ペッ(suma・tukari・pet)=石・の手前・川。斜里側からずっと砂浜が続く海岸線ですが、島戸狩川の河口を過ぎるとゴロタ石の浜になります。斜里町側、知床半島の根元一帯の地名。明治時代までは朱円(シュマトカリ)村と称していましたが、大正時代に「しゅえん」と日本的な地名に転訛しました。縄文時代の周堤墓もあります。

【知床】(しれとこ)

シリエトク(sir・etok)=大地の・突端。礼文島の南端にも同じ知床という字名があります。「地の果て」というのは和人的な(あるいは観光的な)意訳で、本来の意味とは異なっています。

【茶志別】(チャシベツ=チャシウシベツ)

チャシウシベツ(chasi・us・pet)=砦・ある・川。もしくはチャシベツ(chas-pet)で走る(流れの速い)・川。
「猫山の左の猫耳は巨大な岩。さらに山頂直下もよじ登れないような岩壁。だから要塞のような地形なんだ。雪のあるときに尾根沿いに登るしかないから」と羅臼の宿まるみの主人・湊謙一さん。
猫山から流れ出す川が茶志別川。アイヌは、この山を天然の要塞にしていたのかもしれません。

知られざる知床の秘峰! 「猫山」

世界遺産知床を目ざして、知床半島にやって来る旅人にはいろんな人がいます。取材中に出会った旅人のなかでも、ちょっぴり異色の人が、Sさん。本名は伏せさせて頂き、便宜的に「猫山」さんと呼ばせて頂きます。その「猫山」さん、知床に来た目的が、「猫山に

【涛沸湖】(トーフツ)

トープツ(to・put)=湖の・口

【飛仁帯】(トビニタイ)

トペ・ニ・タイ(tope・ni・tay)=イタヤカエデの集まる森。(トペ)は乳液、niは木で乳液の出る木、つまりはイタヤカエデ。tayは木や草の集まって生えている所です。羅臼町にある字名で飛仁帯小学校も平成22年に廃校になっていますが、実は北海道の歴史を知る人には超が付く有名な地名。トビニタイ文化という言葉の発祥地なのです。

知床で花開いたトビニタイ文化を知る

羅臼町に飛仁帯(とびにたい=現在の羅臼町海岸町)という場所があります。《トペ・ニ・タイ(tope・ni・tay)=イタヤカエデの集まる森》というアイヌ語由来の地名ですが実は、この地名歴史学にとっては実に有名な地名になっています。まずは北海道

【野付】(のつけ)

ノッケウ(not・kew)=アゴの・骨。not(ノッ)は岬を表す言葉でもあり、not-or(ノトロ=能取岬)もこのnot(ノッ)が使われています。野付半島はその名の通り、クジラの下アゴのようにオホーツク海に突き出しています。アイヌの人は、大地は生きていると考え、突きだした部分がnot(アゴ)・etu(鼻=尾岱沼を参照)と表現しています。

野付半島原生花園

風化の進む野付半島の奇観トドワラですが、野付半島の本当の良さは、レストハウスから先の半島先端部にあります。昭和28年初点灯の野付埼灯台のある竜神崎原生花園や、観光船の着く一本松原生花園まで足をのばせば、プリミティブな自然に触れることができま

【幌萌】(ホロモエ/羅臼町幌萌町)【幌無異】(ホロムイ)

ポロモイ(poro-moi)=大きな・入江。室蘭市にも同じ町名があります。

【プユニ】

プユニ(Puy・un・i)=穴のある所。ウトロを一望にする展望地、プユニ岬ですが以前は穴が空いた場所があったようです。

【松法】(まつのり)

マチネ・ウリリ(matne・urir)=雌の・海鵜。羅臼の字名の一つ松法町(まつのりちょう)。いかにも和人的な地名ですがやはりアイヌ語由来です。海岸のテトラポットにウミウがとまっていることもあります。

【目梨】(めなし)

メナシ(menas)=東方、東風。羅臼町は目梨郡羅臼町。大地の東方の地という意味。幕末の探検家・松浦武四郎は「女那志」と充てています。

【藻琴】(もこと)

モコト(mokor・to)=眠っている湖。

【止別】(やむべつ)

ヤワアンペツ(ya・wa・an・pet)内地の方にある川の意。

【羅臼】(らうす)

ラウシ(ra・us)=魚の臓物・多くある・ところ。もしくはラウシ(ra・us・i)=低いところ(深いところ)・多くある・ところ。
鹿や熊、魚の臓物を処理した場所という説と、羅臼川が流れる深い谷のある場所という説に分かれています。幕末の探検家・松浦武四郎の記す『知床日誌』には「ラウシ。昔し鹿熊等取り、必ずここにて屠りし故に其臓腑骨等有しとの義也」と、内臓説を採用しています。アイヌからの聞き取りならばこちらが正解かも知れません。

【礼文】(れぶん)

レプン・シララ(repun・shirar)=沖に出ている・岩。羅臼町市街のすぐ南にある字名が礼文町。礼文島に知床があり、知床に礼文があるのもアイヌ語由来だから。レプン(repun)は、沖という意味なので、羅臼の場合は沖に波に隠れるような岩があるということを現しています。

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